高校生が1枚の紙に書いた漫画で発想や画力などを競う「第25回全国高校漫画選手権大会」(まんが甲子園)の本選が8月6・7日、高知市で開催された。全国319校の応募の中から予選を通過した31校が集結。決勝に進んだ20校が「新元素発見」をテーマにした漫画に挑戦し、5度目の本選出場となる静岡の伊東高校城ヶ崎分校美術部が3年ぶり3度目の最優秀賞に輝いた。(文・写真 藤川満)
1カ月前から本番のシミュレーション
優勝チームだけに与えられるグロリオサ(花言葉「栄光」)の冠を与えられ、誇らしげに表彰のステージに立った伊東高校城ヶ崎分校の美術部員5人。「絶対に勝つと信じて取り組んできた」と部長の小野あいりさん(3年)は話した。
大会約1カ月前からは、本番同様の開始時間や制限時間で作品作りのシミュレーションをくり返してきた。部員たちは、思ったことはどんなことでも口にし、意見を交換する中からアイデアを生み出してきた。顧問の大津忍先生は「昨年は本選出場すらできなかった悔しい気持ちを持ち続けた」と部員の心中を代弁する。
決勝は「新元素発見」テーマに
決勝のテーマ「新元素発見」の発表と同時に作品づくりがスタート。午前10時半から昼食を挟んで午後4時まで、各チームは紙に向かって汗を流しペンを動かした。紙面の使い方は自由。発想力が勝負の決め手となる。城ヶ崎分校の部員たちは「絶対勝つ、絶対勝つ」とお互いを鼓舞し合って創作に取り組んだ。
最優秀賞を獲得した同部の作品は、元素の周期表に隠れた神様の姿が、新元素発見によって徐々に明らかになる様子が描かれているものの、実はそれは宇宙のほんの一部でしかないという2コマの作品。宇宙という時空の巨大さとちっぽけな人間の力を対比させたのがポイントだ。「新元素」という言葉の響きを使い言葉遊びで表現する作品が多い中、一つの作品の中に空間の広がりを表現した点がその画力と共に評価された。
小野さんは「5人で協力しての作品作りはとても勉強になった」と喜んだ。2位は豊明高校(愛知)、3位は宇都宮文星女子高校(栃木)だった。