「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどで絶大な人気を博す仙台市出身の漫画家・荒木飛呂彦さんが8月1日、第41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文2017)の美術・工芸部門に参加した高校生に向けて講演を行った。「ジョジョが大好き」という高校生たちからの質問ににこやかに答えた。(文・写真 野村麻里子)

高校生の質問に笑顔で答える荒木飛呂彦さん(左)

――荒木先生が描く悪役はとても魅力的。魅力的な悪役が描ける理由は?

悪役のほうが自由。主人公は読者の共感を得なければならないし正しいことをしなければならないが、悪役は自由にしてよい。悪役の理論、哲学があり「貫いている悪」だと、「いいな」となる。それがないとただの悪党。

――配色や奇抜なポーズのインスピレーション、参考にしているものは? 

ポール・ゴーギャンが砂浜の色をピンクに塗っていたのが、子供のころから魅力的だと思っていた。何色で塗ってもいいんだ、と。アニメの(制作の)人に「主人公の(東方)仗助は何色ですか?」と聞かれたが「何色とかない」というのが僕の答え。ポージングは、ローマの彫刻が好き。ジョジョ立ちは人間ができないように書いているが、最近やる方がたくさんいるのでびっくり(笑)

――リアリティの追求でどんなことをしている?

例えば、漫画のキャラクターが東西南北どこに向いているか、僕はわかっている感じが好き。キャラクターがいま緯度経度で何度にいるのをわかっていたい。ジョルノ(第5部の主人公)だったら、イタリアのどの地点にいるというのを知っててほしいと思って書いている。主人公たちがその場所にいると共感できる。

――作品を完成させることはどう考えている?

レオナルドダヴィンチのモナ・リザは一生描いていたと聞くが、よくわかる。自分で終わりと決めたところが終わり。作家の志次第。少年ジャンプとかは(原稿を)落とすといろいろな人に迷惑が掛かるので…(ウルトラジャンプ編集者「僕らがひっぺ返しに行っています」とコメント)。

――愛用している画材は?

カートリッジ式の筆ペン。インクつけなくてよくて、耐水性だから色も塗れる。鉛筆でもボールペンでも何でもよい。自分の好きなもの、目的に合ったものを使うのが良いと思う。

――実写映画化したのは?

ウルトラジャンプ編集部:30周年の節目的なこともあって。
 荒木さん:外国の人たちに見てほしいというのもあるかな。日本語の漫画だと壁がある。30年も書いているんだからいいじゃない(笑)

――なぜカラフルな絵を描くのか?

色と色を組み合わせる時に驚きを感じるときがあり、それが楽しい。塗っていると「うわあ」と。(ただ、)やりすぎないように冷静に。街行く人の配色も見ている。「陸上トラックが最近ブルーだけどなんで?」と考えたり。