新しい環境で友達を作るには、「上手に会話する力」をみがくことが大切だ。お笑いの力を生かしたコミュニケーション術を教える元芸人・芝山大補さんに、話題に困らない「会話術」を教えてもらった。(木和田志乃)

「連想ゲーム」で会話は続く

会話は「キーワード」でつなげよう

―上手に会話を続けるにはどうしたらいいですか?

会話は「連想ゲーム」に近いものです。トーク番組で「テーマ」が設定されている場合が多い理由は、キーワードで会話をどんどんつなげられて、ウケやすいからなんですよね。

例えば、誰かがタクシーに乗った話をしていた場合、自分もタクシーに関する内容を話すと会話が続いていきます。タクシーの話が思いつかない場合は、「同じく乗り物の話しなんだけど〜船に乗った時に〜」と「乗り物」のカテゴリーまで広げて、別の乗り物である「船」や「飛行機」などに乗った話につなげられる場合もあります。

相手の話の中で、タクシーの運転手に釣り銭を間違えられて悲しんだ体験が話されていた場合は、「悲しい話と言えば〜」と、自分の悲しい経験へと話題を変えることも一つの手です。

―連想ゲームのように会話を広げていくんですね。 

お笑い芸人はおもしろい話題をたくさん持っていますが、一番すごいのは「話しているキーワード」に関連した話をポンと出せる力が抜きん出ていることです。

みなさんも話しているテーマをつなげて会話を話すという意識を持ってもいいと思います。

思いつかない場合は正直に言おう

―キーワードで会話を続ける……。難しそうです。

何も思いつかない場合は、「思いつかない、ごめん」と正直に言った方がいいと思います。そうすれば、相手も「ゆっくり考えていいよ」などのリアクションができると思います。ですが、何も言わなければ、相手も反応できなくなってしまう。自分でハードルを上げているんですよね。

芸人であれば、思いつかなかったことが笑いにつながります。「何もしゃべらない」のが一番の悪手です。

会話が詰まったら相手に振ろう

―話を振られても返し方が分からない、黙ってしまう場合はどうすればいいですか?

先に相手に話をしてもらうようにします。好きなマンガを聞かれ、すぐに思いつかない場合は、先に相手に答えてもらいましょう。その間に考えるようにすると、思いつくことがあります。

「みんなが得する話題」を意識して

―反対に、しゃべりすぎてしまうと悩む人に向けて、アドバイスをください。

しゃべりすぎてしまうのはよくあることですが、話がおもしろければ、もっと聞きたくなるはずです。空気が悪くなるのは、話がつまらないから。つまらないのはなぜかというと、「誰の得にもなっていないから」だと思います。

なので、「みんなが得しそうな話題」を考えた方がいいです。もし途中でしゃべりすぎたと気付いたら、「どう思った?」「みんなやったらどうする?」と話を振っていってください。

しゃべりすぎる傾向のある人は、まず自分が話したい話題を相手に振って、話が終わってから自分が話すようにするといいですよ。

会話が下手な人は「自分ファースト」で話す

―会話が下手な人にはどんな特徴があるのでしょうか。

「自分が得するために話している人」は、会話が下手だと思います。例えば、自分は話すだけ話しておいて人の話を聞いていない人、オチの直前で話題を取ったりしてしまう人などです。「自分ファースト」の行為で、嫌われるでしょう。

話をコロコロ変えすぎる人も、あまり好まれません。例えば、ゲームの話で盛り上がっているのに、突然物価の話をしだすと、相手は話についていけません。

しばやま・だいすけ

元お笑い芸人。ネタ作家。「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という思いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。最新刊は『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)