新入学、新学期最初のイベントいえば「自己紹介」だ。「何を話せばいいかわからない」と迷う人も、コツさえつかめば上手に話せること間違いなしだ。お笑いの力を生かしたコミュニケーション術を伝える元芸人・芝山大補さんに、「好印象を残す自己紹介のコツ」を聞いた。(木和田志乃)

自己紹介は「自分のキャラ」の紹介

成功する自己紹介のコツ

―新学期と言えば、自己紹介がつきものです。何を話せばいいのでしょうか?

自己紹介は、お笑いに例えると「つかみ」に当たります。「つかみ」には「最初に笑いを取って、その後をウケやすくする」「自分のキャラを提示する」という二つの目的があります。例えば、毒舌キャラの芸人なら、つかみでお客さんに強めにツッコんでおくと、続く漫才の毒舌の部分がウケやすくなります。

新入生の場合、自己紹介を皮切りに3年間の学校生活が続きます。そのため、取り繕ったりせずに、明るめ、静かめなど、「どんなテンションのキャラなのか」を伝えるのが大切です。

「趣味」や「名前」をフックにしよう

―話す内容に何を盛り込むべきですか?

何か1つポイントを絞って、好きなものを伝えてみてください。例えば「マンガの○○が好きです」と話せば、関心があるクラスメートは話しかけに行くでしょう。

名前を話題にするのも手。例えば僕は「だいすけ」の字が「大輔」ではなく「大補」。「『すけ』は『補う』です!」と字の説明をして、「間違えられやすい」と添えて話すことも多いです。

話し過ぎず「引き算」を意識して

―自己紹介する時の注意点は?

自己紹介は、クラスメートに「あの人と話したい」って思ってもらうことがポイントです。「小学校で何々して、中学校で何々して……」としゃべりすぎてしまう人もいますが、情報を与えられすぎると「その人を知りたい」という興味がなくなってしまいます。「引き算」が大切です。

「自慢話×しゃべりすぎ」はNG

―やってしまいがちなNG行為を教えてください。

嫌な印象を与えるのは「みんな俺に興味あるだろう」と言わんばかりに、自分の情報をめちゃめちゃアピールしてくる自己紹介です。

ただ、自慢話ばかりの自己紹介でも、最後に自虐ネタを入れたりすると、いい印象をもたれやすいです。しゃべりすぎてしまった場合は自分の情けない部分を話してもいいですね。

「低めのキー」「スローで話す」のを意識して

―大勢の前で話すのが苦手な人もいます。話し方で意識すべき点は?

まずは「誰でも緊張するもの」とポジティブに捉えましょう。芸人も慣れないテレビに出演すると、話すテンポがすごく速くなり、声がよくうわずります。そうなると、空回りしてお客さんの反応も悪くなります。

僕も経験がありますが、マネージャーから「普段よりもゆっくり、声のキーも低くして話し始めるように」とアドバイスを受けました。実践してみると、お客さんが話の内容をよく聞いてくれるようになりました。高校生のみなさんも覚えておいてほしいですね。

しばやま・だいすけ

元お笑い芸人。ネタ作家。「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という思いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。最新刊は『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)