新しい学校で「初対面の人と何を話せばいいかわからない」と悩むあなたも、会話が続く「話題の見つけ方」さえ分かれば怖くない! お笑いを生かしたコミュニケーション術を教える元芸人・芝山大補さんに教えてもらった。(木和田志乃)

初対面の人とは「しょうもない話題」が最適

「意味のない話」で話題を作る

―「初対面の人と何を話せばよいかわからない」と悩む高校生の声をよく耳にします。

人と話すのが苦手という人の中には、「気の利いたことを思いつけないから話しかけられない」という人が多くいます。僕は逆に、「雨、続きますね」「この辺、焼き肉屋が多いらしいよ」など、「しょうもないこと」を言うのが大事だと思うんです。

―「しょうもない話」とは?

例えば、住んでいる場所など「話す意味がありそうな話題」を選ぶと、都度「この内容には意味があるのか?」と悩んでしまい、だんだん話題が見つからなくなってしまいます。そんな面接のような切り出しでは、会話が固くなってしまいます。

反対に、「しょうもない話題」で話しかけるとハードルが低く設定されて、話題が思いつきやすくなります。そればかりでなく、相手にも「この場では、こんなしょうもない話もしてもいいんだよ」と提示することにもなります。そうすればお互いの会話のハードルは低くなり、結果会話が盛り上がるでしょう。

仲の良い人、気心の知れた人との会話は、普段あまり考えてしゃべっていないですよね。

だからこそ、相手に「この場は話しやすい」と提示するために、自分から率先して「意味のない話」をしてください。

自分から率先して会話を切り出そう

―具体的に、どんな話題を切り出せばよいでしょうか?

天気の話や担任先生のくせ、それから「服にソースがついた」程度のどうでもいい内容です。身の回りにあることを話題にするのがいいと思います。

そして、自分が「しょうもない話」を最初に切り出せるかが重要です。そうすると相手も、「私も何話してもいいな」と話しやすくなり、仲良くなりやすいですね。

聞く際は「うなずき」「相づち」「共感」を意識

―話を聞くときは、何を意識したらいいですか?

話している時に相手がうなずくと、「聞いてもらえている」という安心感があります。うなずくのはしっかりと相手の話に集中しているというアピールになりますね。

あまりおもしろくない話でも「マジか、おもしろい」と笑ってくれる人、悲しかった話をすれば「悲しいよね」と共に悲しんでくれる人と話したいと思うもの。相づちを打ち、共感を示すのが大事です。「あの人だったら聞いてくれるかもしれない」と思われると、次もまた話しかけられやすくなります。

自己紹介で「人見知り」と伝えよう

―人見知りで悩む人に向けて、初対面の人に話しかけるコツを教えてください。

そもそも僕は、人見知りを悪いことではないと思っています。実は僕も人見知りで、周りの人たちの性格や立ち位置を観察するタイプ。自分に合いそうな人、合わなそうな人を見分けるようにしていました。だから、人見知りは一長一短。無理に話しかけなきゃいけないとは思いません。

―ですが、初対面の人に話しかけなければいけない場合がありますよね。

僕の人見知りは治っていません。ただ年下の人たちに対して「人見知りなんで……」という態度を取るのはダサいと思っているので、頑張って話しかけに行っています。「話しかけに行く」という経験値を重ねていくと、何も思わなくなるので大事なことだと思います。「相手も話しかけてほしいんだ」と錯覚して、重くとらえず話しかけに行くといいと思います。

人見知りの人は、まずは人見知りの人に声をかけてみてください。「ここは話しにくい」「こういう場所は苦手」など共感できるポイントも多いです。自己紹介の時に人見知り、引っ込み思案だと伝えるのもいいですね。 

しばやま・だいすけ

元お笑い芸人。ネタ作家。「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という思いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。最新刊は『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)