浜松学芸高校(静岡)の2年生3人は、高校生らがビジネスプランを考え競う「第12回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)で、準グランプリを獲得。廃校を活用し、避難生活を体験できる2泊3日の観光プランを提案した。ゲーム感覚で防災を楽しみながら学べる、画期的なアイデアだ。(文・写真 中田宗孝)
「観光×防災」のビジネスプランを提案
浜松学芸高校の社会科学部地域調査班は、浜松市の魅力を発信する部活だ。同部で活動する3人は、防災と観光を掛け合わせたビジネスを考案。自分たちの地元・浜松市を中心に静岡県内の廃校を再利用して3日間、「避難生活の疑似体験」を提供したいという。

簡易ベッド設営や非常食料理に挑戦
プランによると、宿泊者は災害時の対処法や避難生活に役立つ衣・食・住の知識を学ぶ26種類の「クエスト」に挑戦。例えば、非常食を使った料理への挑戦や、簡易ベッドやトイレの設営などだ。
「VRを使う脱出ゲーム形式のクエスト『津波から逃げろ!!』では、リアリティーあふれる体験で二次災害をまねく津波の怖さを知れます」(鈴木杏奈さん・2年)
家族向け、都市部の災害想定のプランも用意
クエストは自由に選べるが、「迷う方にはパッケージプランがおすすめ」(鈴木成海さん・2年)。家族連れに向けた「家族型プラン」、都市部での災害発生を想定した「都市型プラン」、海辺の地域に暮らす人には「沿岸部型プラン」など、全11のプランで参加者の多様なニーズに応える。

話し合う、助言をもらう大切さを実感
杏奈さんは防災に、清水瑠葵さん(2年)と成海さんは観光に興味を抱き、それぞれ部活に取り組んできた。3人の考えを組み合わせ、観光と防災を融合したアイデアが生まれた。「0から1を作るのは難しい。私たちは既存のものを掛け合わせて、新たな地域資源を創出しました」
「私たちはビジネスの利益計算や収益計画を立てるのが苦手」(杏奈さん)で、地元の企業や大学教授からアドバイスを積極的にもらった。「プランを簡単に説明し、反応を見て、フィードバックをもらい、ブラッシュアップ。人と話し合う大切さを実感しています」(清水さん)
身の回りに目を向け、疑問を抱く
発想するコツについて、杏奈さんは日ごろから「アンテナを張りながら日常生活をよく見ること」を心掛けている。
「『なぜこうなってるの?』『もっとこうできるのでは?』と疑問が浮かびます。疑問を解決できるアイデアが、ビジネスプランのきっかけになる」
3人は「来年度からは地域の企業と協力しながらプランを実際に運営していきたい」という。