ドラマ&映画『【推しの子】』でルビー役を演じた女優の齊藤なぎささんに高校生記者がインタビュー。高校生から寄せられた「初対面の人に好印象を持たれたい」「周りと自分を比べてしまう」といった悩みに、自分の経験を交えながら答えてくれました。(取材・堀口遙=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・玉井幹郎)
初対面の人には「目を見て笑顔でテンション高めに」
―高校生からの質問です。「初対面の人に好印象を持ってもらうためのコツはありますか?」
初対面の方とのコミュニケーションで私が心掛けているのは、相手の目を見て話す。笑顔を常に絶やさない。「はじめまして」「ありがとうございました」といったあいさつはしっかり丁寧にすることですね。あと、普段の自分のテンションよりは、高めにリアクションしているかな。大きな身ぶりや手ぶりを交えてみてください。
劣等感を消すには「自分磨き」
―続いての質問です。「いつも周りと自分を比べては劣等感を抱いています。そんなとき、齊藤さんはどのように気持ちを保っていますか?」
私もみなさんと同じ年齢のときは、誰かと比べてはひとり落ち込む場面が多かったです。当時は、「もっと広い世界がある」と気がついてなかったと感じています。自分と人を比べたところで、自分の小さな世界の中での出来事。それよりも広い視野を持てれば、誰かと比較することが、あまり意味がないと気づけると思います。
―どうすれば広い視野を持てるのでしょうか。
自分を磨くことです。ビジュアルも内面も磨く。自分磨きの方法は、私の場合は仕事になりますが、ひとつひとつのお仕事を全力で取り組む、自分のベストを尽くす。すると、「一緒に仕事ができて良かった」という言葉をいただくことが増えていき、自分を必要としてくれる場所ができるんです。そんな居場所が見つかれば、もう人と比べる自分はいなくなりました。
―落ち込んだときはどうしていますか。
テーマパークに遊びに行きます! 何回も(笑)。友だちが落ち込んだ私にすぐに気づいてくれて「会おうよ! 行こうよ!」と誘ってくれるんです。私は落ち込んだときこそ、ひとりでいる時間を作らないようにしていますし、友だちから元気をもらって気持ちを上向きにさせています。
アイドルの光も影もわかるから「演技に感情が乗った」
―ベストセラー漫画を映画化した『【推しの子】-The Final Act-』で、アイドル活動を始める女子高校生のルビーを演じます。アイドル活動の経験がある齊藤さんは、劇中のアイドルたちに共感することも多かったのではないですか?
そうですね。「アイドルは私の憧れなんだよ!」というルビーのせりふには、アイドルだった自分を重ね合わせてグッときました。劇中のアイドルたちの姿に、「あぁ、私もそうだったな」とか「ライブ前に同じことを考えてたな」と、昔の自分がバーッと浮かんできました。
アイドルって本当にキラキラした存在なのですが、一方で多くの苦労があるんです。SNSでの誹謗(ひぼう)中傷とか……。今作は、アイドルの光り輝く部分だけでなく、影の部分もしっかりと描いています。私もアイドル活動する中でつらい経験もあったし、彼女たちの苦しみがすごく分かりますし、演技にも感情を乗せられました。
真冬の川で「泣きの演技」に挑む
―ルビーが参加するアイドルグループ「B小町」のオリジナル楽曲「トワイライト」のMVがYouTubeで公開中です。ルビーの歌い方やダンスの表現で心掛けたことを教えてください。
歌もダンスも、「アイドルだった齊藤なぎさ」とは違うパフォーマンスを強く意識しました。ルビーちゃんは、アイドルに憧れ、思いがかなってアイドルになれたキャラクター。アイドルとしてステージに立てた喜びを表現したいなと思いました。ダンスではハキハキと楽しそうに踊る。「まさに天性のアイドル!」って感じられるような。私は歌うことが大好きなので、「B小町」の楽曲レコーディングもめちゃくちゃ楽しかったです!
―劇中のドラマパートで思い入れ深いシーンはありますか。
涙を流すシーンがとても多くて、すごく印象に残っていますね。今作で結構、泣いてるんですよ。「泣きの演技」の撮影前には、私は気持ちづくりを大切にしていて、音楽を聴くようにしていました。
切ない感情に自分が浸れるような歌詞の曲を聴いて本番を待つ。川の中で涙を流すシーンがあったんですけど、撮影は真冬に行われました。川の水は冷たくて、泣かなくてはいけない大変な撮影だったのですが、私と一緒に「B小町」のメンバーを演じる(原)菜乃華さん、あのさんが私の演技をずっと見届けてくれたんです。本番が終わると、2人が私を抱きしめてくれて……。私たち3人の絆を感じることもできて、撮影外でも大号泣でした。
【取材後記】ストイックな姿にはっとさせられた
質問に対してよどみなくはきはきと答える齊藤さんの姿は、美しくかっこよかったです。加えて取材の端々では、ユーモアのあるかわいらしい齊藤さんも見られた気がしました。
アイドルグループの1stコンサートと、高校受験の日程が重なっていたと話されていたのが衝撃でした。芸能活動と学業の両立がどんなに大変でも「やるしかない」という気持ちで頑張っていたと語っていて、「やるしかない」という言葉に齊藤さんの強い芯が見えました。
そして「人と比べても仕方ない」「自分を磨く」という言葉。励まされると同時に、自分を磨き続けようとするどこまでもストイックな姿にはっとさせられました。人と比べて自分を卑下するのではなく自分磨きを怠らなければ、いつか納得できる自分になれるかもしれないと思いました。光のような、すてきな言葉を伝えていただきました。人と比べてしまう時は、齊藤さんの言葉を思い出したいです。(高校生記者・堀口遙=3年)
齊藤なぎささんサイン色紙&シールをプレゼント!
齊藤なぎささんサイン色紙を1人に、「B小町初ライブ銀テシール」を3人にプレゼントします。高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「齊藤なぎささん色紙希望」または「【推しの子】シール希望」と明記の上、「学校名・学年・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。応募資格は高校生・中学生に限ります。1月31日締め切り。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。
映画『【推しの子】-The Final Act-』
伝説のアイドルグループ「B小町」のセンター・アイ(齋藤飛鳥)は、妊娠を隠して芸能活動を続けていた。産婦人科医のゴロー(成田凌)は、「推しのアイドル」が無事出産できるようサポートしていたが、何者かによって殺害される。再び目を覚ますと、アイが出産した双子の一人・アクアに転生していた。時はたち、高校生となったアクア(櫻井海音)と双子の妹のルビー(齊藤なぎさ)は、亡き母と同じ芸能界に飛び込む。配給・東映。12月20日(金)から全国公開。なお、ドラマシリーズはPrime Videoにてプライム会員向けに世界独占配信中。
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さいとう・なぎさ
2003年7月6日生まれ。神奈川県出身。17年、アイドルグループ「=LOVE」のメンバーとしてデビュー。23年に同グループを卒業後、女優としての活動を本格的に始める。主な出演作は、ドラマ「私たちが恋する理由」、映画「交換ウソ日記」「あたしの!」など。