悲しくないのに涙があふれてくる、なんて経験のある人はいませんか? 臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「勉強しようとすると涙があふれてくる」という悩みに答えてもらいました。
-
【お悩み】勉強しようとすると勝手に涙があふれてくる
学校ではこんなことないのですが、家で勉強机に向かいペンを持ち、勉強を始めようとすると、涙があふれてきてしまいます。何かつらいことを考えているわけでも、勉強がつらいわけでもないのですが、なぜか泣いてしまうので、不思議で困っています。
家で机に向かい勉強することがトラウマのようになってしまっているのか、分からないです。受験勉強の際に、涙でなかなか勉強が思うようにいかず困っています。対処法を教えてください。(ユナ・高校3年女子)
進路決定も受験もストレス源に…
受験生であれば、家でも一生懸命、勉強することと思います。希望の進路に向けて頑張ろうとしても、思わぬところで集中が妨げられたら、勉強も進まないですよね。ユナさんは勉強机で勉強を始めると涙が出てしまうということなので、かなり困る状況だと思います。
進路決定で、深く思い悩むことも珍しくありません。特に高校から先の進路はより多くの選択肢があり、自分の人生に大きな影響を与える選択にもなるでしょうから、その分、ストレスも大きくなると思います。もし、親や先生の意向も関わっていたら、なおのことストレスは大きくなるでしょう。
心と体の「限界サイン」を知っておこう
過度にストレスがかかる場合は、心や体にさまざまな反応が出ます。
例えば心には、「気持ちが落ち込む」「好きなことにも興味が持てなくなる」「マイナス思考になる」「ささいなことで感情が乱れる」などで表れることがあります。
体には「不眠」「食欲低下」「体がだるい」「頭痛や腹痛」などの不調が生じることがあります。過度なストレスは自律神経を乱すことがあるため、このような身体症状が生じるようですが、同じ影響から涙が出やすくなることも考えられます。これは個人的な見解ですが、感情の表出を抑えがちな人は、体に反応が出ることが多いように思います。
柔軟な考え方を持って行動してみよう
人は何かに必死で頑張ろうとして、視野が狭くなることがあります。場合によっては、考え方が偏った方向に進んだり、柔軟性に欠いた考えや行動を取ってしまったりすることも考えられます。
そういった時には、信頼できる人に自分の状況を話して、自分のいまの状況を振り返る機会があるといいように思います。そうすることで、自分が何にストレスを感じているのか見えてくることもあると思います。そこで自分の思いを口にできるといいかもしれません。
受験勉強は困難な壁にぶつかることもあるでしょうが、自分の希望をかなえようとする時は、その困難にもめげず、努力を続けようとすると思います。そんな時こそ、日常生活の過ごし方や勉強への取り組み方も、柔軟な視点で行動できるといいように思います。
勉強机に向かうことにトラウマがあったなら、勉強机以外の場所で勉強してみることや、ペンを使う以外の勉強方法も試してみてください。最近は動画で学ぶこともできますので、ストレッチをしながら、半身浴をしながら勉強してもいいかもしれません。
自分のために頑張る時こそ、柔軟な考え方を持って行動してもらえればと思います。
-
大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務
大倉さんに相談したいお悩みを募集します
編集部では高校生の読者のみなさんの「心の悩み」を募集しています。
どんなことで悩んで、何を知りたいか、今はどんな状況なのかをLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に送ってください。
メッセージの最初に「大倉さんへの相談」であることと、学年・性別・ペンネーム(希望者のみ。お名前・アカウント名は掲載しません)を明記してください。相談に回答できない場合もあります。記事で紹介させていただく場合は編集部から連絡します。
※記事にする際は、読者の方に読みやすく、分かりやすくするために、投稿の趣旨を変えない範囲で短くしたり、表現や表記を添削させていただく場合があります。