読者の高校生から「SNS上でグッズを交換しようとしたら、相手から商品が送られてこなかった」という声が寄せられた。フリマアプリやフリマサイト、SNS上で行う「個人間での取引」では、どんなリスクがあるのだろうか。トラブルの対処法や回避方法について、全国の消費者トラブルに対応する国民生活センターで、相談などを担当する安井大智さんと布施杏奈さんに話を聞いた。(黒澤真紀)

お金だけだまし取られるケースも

―フリマアプリやフリマサイト、SNS上の取引では、どんなトラブルがありますか?

まず、フリマアプリやフリマサイトでは、状態が「きれい」と説明されていた商品が実際には汚れていたり、傷があったりするケースがあります。購入した商品が破損して届いたり、そもそも発送されなかったりする場合も見受けられます。

トラブルを避けるコツ

さらに、フリマアプリなどの運営会社を介さずに、SNS上で知り合った人と取引をしてトラブルに遭ったという相談も見られます。例えばSNSでライブのチケットを譲ってもらうためにお金を支払った後、相手と連絡が取れなくなってお金だけだまし取られてしまったというケースがあります。他にもグッズ交換を約束した相手から音信不通になるトラブルもあります。

連絡が途絶えても「自己責任」

―個人間で取引するリスクを教えてください。

事業者が運営する店舗や通販サイトでは、継続的に売り上げを上げていくために当然ながら責任を持って事業を展開しています。そのため、万が一商品の品質や配送に問題が発生しても、事業者に何らかの対応が求められます。

フリマアプリやSNS上の取引は「自己責任」

一方、SNS上での取引は、個人と個人のやり取りになるため、「自己責任」で対応しなければなりません。法的なサポートがなく、問題が起きても、基本的に自分で対応しなければなりません。フリマアプリを利用した個人間取引においても、金銭や品物のやりとりは、売主と買主の間に運営会社が入り仲介しますが、基本的に個人間の取引となるため、トラブルが発生した場合は、当事者間で解決するのが原則となっています。

消費生活センターがサポートできない場合も

―もし相手とトラブルになったら、どう対処すればいいでしょうか?

フリマアプリやフリマサイトを使った場合は、まずは当事者間で話し合いをしましょう。それでも解決しない場合は運営会社に協力を得られないか相談してみましょう。

SNS上での個人間のやり取りのみで取引をした場合は、各地方自治体で消費者トラブルに対応している「消費生活センター」のサポートを受けるのが難しい場合があります。消費生活センターは、「消費者と事業者の間のトラブルについて支援する役割」であるため、純粋な個人間取引には対応できないのです。

SNS取引で相手と連絡が取れなくなるなどのトラブルが発生した場合、被害の回復が難しいかもしれませんが、警察に相談するのが適切です。個人間取引では大きなトラブルに発展する可能性もあるため、本当に気をつけなければなりません。

身分証明書は絶対送らないで

―SNS取引では相手から「信頼できる相手か確かめるために身分証明書を送って」と提案される場合もあるそうです。

提案されたとしても、応じるのは絶対に避けてください。たとえ相手から運転免許証などが送られてきても、本当にその人のものであるかはわかりません。他人の情報を悪用している可能性もあり、相手に自分の学生証や免許証の画像を送ってしまうと、個人情報が不正に使用されるリスクがあります。個人情報は絶対に共有しないようにしましょう。

個人情報の管理には注意して

メッセージのやり取りは記録を

―トラブルに巻き込まれないためには、どんなことに気をつけるべきですか?

フリマアプリを利用する場合は、トラブル解決は当事者間で解決することが求められていることを理解したうえで利用することが必要です。また、商品受取前の評価や利用規約等で禁止されている行為をしないようにするなど、運営会社の定めたルールに則って利用することが大前提です。そのうえで、取引の相手方のレビューや評価がある場合は確認し、相手が信頼できるかどうかを見極めましょう。

SNS上で知り合った人との商品の売買はトラブルの元になるので避けてください。どうしても欲しい商品やチケットがあってもできるだけ信頼のある販売元や、チケットであれば公式サイトからの購入をおすすめします。

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独立行政法人国民生活センター

消費者の安全・安心を守るため、消費生活に関する情報提供や相談窓口の運営を行う機関。高校生でも利用可能で、困った際は全国共通の消費者ホットライン「188」を使えば、最寄りの相談窓口につながる。

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