仲の良い友達との「グループ」は、学校生活を楽しく送る要素になります。もしも気の合わない人が同じグループに入ってきたら、どうすればいいのでしょうか。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「グループに入った気の強い子と仲良くなれない」という悩みに答えてもらいました。
-
【お悩み】グループに入った気の強い子と仲良くなれない
クラスメートの女子たちが苦手です。気が強かったり自己中心的だったりする人が多く、昨日まではとても仲良くしていたのに、けんかして次の日には無視や嫌がらせをする女子グループがいくつかあります。
そういう人たちを見ているだけでも怖くて不快感を覚えます。なのに、仲良くしていたグループに仲間はずれにされて孤立し、全く関わりのなかった私や私の友達と仲良くしようとする人がいます。でも、それまでの言動からその子のことを怖く感じてしまい、友達になるのに抵抗があります。そもそも話しても波長が合わず、私が素を出せなくて、なかなか仲良くなれません。
私の友達はだれとでも仲良くなれる子で、その気の強い子とも仲良くできますが、私は口下手で緊張して仲良くできないのが悔しく、「なんでうまく話せないんだろう」って落ち込みます。無理して仲良くなる必要はないと思いますが、輪に入れないのがつらいです。
クラスの人間関係が全てじゃないと分かっているのに、クラスの人間関係に執着してしまい、休日でもクラスメートのことばかり考えてエネルギーを奪われてしまいます。どうしたらいいのでしょうか。(ari・高校3年女子)
自分を責める「声」に耳を傾けないで
自分が思った通りに話せないことは悔しいことですし、会話の輪に入れないことで孤独を感じることもあります。自分にとって大切なことがうまくいかないと、そのことが頭から離れづらく、心身のエネルギーを奪われます。ariさんも悩まされ、疲弊する日々が続いているのではないかと思いました。
まずお伝えしたいこととして、口下手であることや、波長が合わない人と仲良くできないと思うことがあると、「情けない」「自分はダメだ」という「心の声」が襲ってきますが、そんなものに耳を傾けてはいけません。コミュニケーションは誰にとっても難しい場面が必ずあるので、「私には私のペースがある」と声に反論しましょう。
「怖さ」も大切な感情
そして人が感じる怖さは大切な感情です。それを無視せず、自分の感覚を尊重することも大事です。怖くて不快感がある人と無理に仲良くしようとする必要はありません。しかし、誰しもそういう人と会話する機会はあると思います。そんな時、みなさんはどうしていますか?
もし、そのままの自分でいたら、「うまく話せない」という「心の声」が浮かんできて、話す場面で緊張させてくることもあるでしょう。そして「話せていない」と感じさせたり、「やっぱりそうなった」と過大評価してきたり、「また話せなかった」と自分を責める「声」も生じたりするかもしれません。
こんな時は、少し違った「声」を、意識的に持ってみませんか? 例えば、波長が合わない人と会話をするときは、「相手の人から話題を引き出そう」という「声」を持ってみましょう。会話の際、相手の人がより話すようになるのは、自分と共通点があると感じたときが多いので、「自分との共通点は何かな?」という「声」を持って聞くこともいいでしょう。もし「会話がかみ合わない」と浮かんだら、「どうやって聞くといいかな?」という「声」を大きくしましょう。
このような「声」を持つことで、落ち着いた自分を作ることも大切です。また会話の輪に入れていないお話もありましたが、「輪に入れていない」と感じさせられている可能性もあります。「声」には油断できません。
仲のいい友達との関係を深めよう
最後に忘れてはいけないことは、毎日、あなたらしくいるために、あなたにとって波長が合う、仲の良いお友達との関係を深めることにエネルギーを使うことです。安心できる関係を大切にすることは、気持ちの安定をもたらします。お友達との関係を大切にしてくださいね。
-
大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務
大倉さんに相談したいお悩みを募集します
編集部では高校生の読者のみなさんの「心の悩み」を募集しています。
どんなことで悩んで、何を知りたいか、今はどんな状況なのかをLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に送ってください。
メッセージの最初に「大倉さんへの相談」であることと、学年・性別・ペンネーム(希望者のみ。お名前・アカウント名は掲載しません)を明記してください。相談に回答できない場合もあります。記事で紹介させていただく場合は編集部から連絡します。
※記事にする際は、読者の方に読みやすく、分かりやすくするために、投稿の趣旨を変えない範囲で短くしたり、表現や表記を添削させていただく場合があります。