今年春の選抜高校野球開会式で司会を務めた古賀美希さん(長崎・諫早高校3年)。7月に行われた放送部などで活動する高校生が作品制作やアナウンスなどで日本一を目指す、第71回NHK杯全国高校放送コンテスト(Nコン、全国放送教育研究会連盟・NHK主催)全国大会ではアナウンス部門で優勝し、史上初の連覇を成し遂げた。喜びの声を聞いた。

「もう一度日本一になる」周囲に言い続け

―どんな思いをもってNコンに臨みましたか?

とにかく、「絶対に2連覇する」という執念です。「もう一度日本一になる」と1年間周囲に言い続けました。賞を取ることに執着するのはよくないとはわかっていますが、それでも「賞を取ること」が頭から離れませんでした。

今年のNコンで優勝カップを持つ古賀さん(学校提供)

しかし、それを言っている間は本当にきつかったです。昨年優勝してから、友達も先生も含め、みんなの視線や接し方が変わりました。高校2年で日本一になった方は今までにもいますが、アナウンス部門で一人も連覇した人がいません。そのことが理解できるきつさでした。

去年の自分に負けたくないという気持ちと、周りからの期待を裏切りたくないという気持ちは、誰よりも強かったと思います。心の状態はパフォーマンスに直結するので、練習や実力も大事だけど、結局は気持ちの問題だと私は思っていました。

不安乗り越え「ありがとう」と叫びたかった

―連覇が決まった瞬間の気持ちを教えてください。

本当に安心しました。うれしい気持ちももちろんありましたが、「無事に有言実行できた」という安心感の方が大きかったです。「連覇したら大会史上初だ」と言われていたこともあり、絶対にやり遂げたい気持ちと、「本当に自分にできるのか」という不安がせめぎあっていました。

Nコン表彰式の様子。最前列の一番右が古賀さん(椎木里咲撮影)

特に結果発表直前はとても緊張していたので、優勝と聞いて発表前の緊張が一気にほぐれました。壇上でカップを受け取ってから、徐々に喜びと達成感がわいてきました。

カップを受け取った後、客席の方を向いてお辞儀をしたのですが、その時は、長崎県選手団への感謝の気持ちでいっぱいでした。本当にうれしかったし、感謝してもしきれません。

顧問の小野下洋美先生には付属中時代も含めて6年間お世話になっていますし、7年一緒にいる親友もいます。他校の先生にも指導していただいています。本当にみんながいなければやり遂げられなかったことなので、できることなら壇上から「ありがとう」と叫びたかったです。

「信じられないくらい」の負けず嫌い

―どんなことが連覇につながったと思いますか。

「絶対にまた日本一になるという決意」です。そして、伝えようとする強い気持ちです。

人に「伝える」ことは、とても難しいことだと思っています。ただ原稿を「読む」だけでは、情報が一方通行に流れてしまうだけで、伝わらないからです。私はできる限りオーディエンスを見ながら、お話しするように心がけています。

練習をする古賀さん(2023年撮影、学校提供)

ただ、原稿を全く見ないで話すと、それはアナウンスではなく「暗唱」になってしまいます。そのバランスをたくさん研究しました。人に伝えようとする気持ちは人一倍強いです。

私は信じられないくらい負けず嫌いです。負けず嫌いなせいで、私が「つかんだ」と言うまで、先生が私の練習に付き合わされます。言われたことは大体すぐできるようになるのですが、何度も何度も細かい部分まで音の高さや間を調整して、練習の時に覚えます。