過去最多の56人が立候補し波乱を呼んだ都知事選を、次の世代を担う高校生たちはどう見ていたのか。高校生記者21人から寄せてもらった意見を抜粋して紹介する。
石丸氏への高校生の反応「政策わかりやすい」「ネット戦略が怖い」
報道機関の出口調査によると、石丸伸二氏が10~20代から最も票を得た。石丸氏に好印象を持つ高校生記者からは「政策も具体的で分かりやすいし、正しいことを言っているように聞こえた」(夢村なぎほ・1年)と声があがった。石丸氏2位を受け「若い人の意見は反映されないのかなと感じた」(りぃ・1年)と、歯がゆさを感じる人もいた。
高校生記者たちによると、石丸氏の動画がYouTubeやInstagram、TikTokなどSNSに流れてきた機会が多かったという。メディアを非難する過激な「切り抜き動画」で知名度を上げた様子を見て、「石丸氏のネット戦略に怖さを感じた。居眠り議員を成敗するヒーローのように描かれてきたが、今回の選挙で好感が恐怖に変わった」(ウグイ・3年)。
一方で、「石丸さんがよいと思って投票した若年層を『こんなネットのピーアールにだまされるなんて……』とバカにした感じで言われていてイラついた(しぃ・1年)」と、若者を無知だと揶揄する風潮に怒りをあらわにする人も居た。
気軽にリポスト…公職選挙法違反、してない?
公職選挙法では、18歳未満の人が選挙運動をすることはネットでの投稿も含めて禁じられている。例えば、X(旧ツイッター)で他人が選挙運動をした投稿をリポストしても、18歳未満は公職選挙法違反になる。「公職選挙法をあまり知らない未成年者は興味本位で拡散してしまう可能性」(るぅか・3年)を危惧する高校生もいた。
石丸氏の街頭演説に大勢の人が集まっているかのようにコンサートの観客を合成した画像や、小池百合子氏が「カイロ大学首席卒業」と書いた幕を掲げて演説している偽の画像など、フェイクが多く出回った。
「ネットでは、立候補者にとって不利になったり有利になったりする情報や合成写真など、真偽のわからない情報がたくさん出回っていた。どれを信用していいのかよくわからなかった」(水素水・2年)との声もあがった。
ポスター掲示、政見放送「知名度を上げるために悪用しないで」
都知事選と無関係、不適切なポスターの掲示や政見放送が混乱を呼んだ。「候補者は政見放送でも、ポスターでもあまりにも真面目にやってないように感じた。やる気がないなら出てほしくない」(ツボ字故・3年)、「選挙を知名度を上げるビジネスチャンスと見て、掲示板を悪用することが起きたのが信じられない」(かすてら・3年)と、怒りの声が多数寄せられた。
「50人以上出馬した中で、本気で東京都のことや都民の事を思って出馬してくれた人は何人いたのか疑問に思う」(むく・2年)、「政治のための政治はしないでほしい」(芽郁・3年)。政治に真摯に向き合っているのか、高校生たちは鋭く観察していた。