読者の高校生から、「オープンキャンパスに行ったら想像と違っていた」という声が寄せられた。施設の豪華さや学食の充実度に目が向きがちだが、それだけでは学びの内容やリアルな大学生活は見えてこない。キャンパスを訪れた際にチェックしておくと良い10のポイントを、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(安永美穂) 

オープンキャンパスで見るべきポイント

【1】立地、アクセス

通学経路、通学にかかる時間のほか、ラッシュ時の混雑状況も要チェック。一人暮らしをする場合は、周辺環境の安全性(人通りの多さや夜間の道の明るさなど)や利便性(生活に必要なものを購入できる店舗があるかなど)も見ておきましょう。

【2】学生の人数規模

学生数が1万人を超えるマンモス大学もあれば、先生と生徒が名前で呼び合うようなアットホームな雰囲気の小規模大学もあります。キャンパスの広さと学生の人数という観点で大学を比較してみると、人が多くて活気ある大学なのか、学生同士や教員との距離が近い大学なのかといった違いが分かります。

【3】授業で使う教室の規模・椅子の配置

机・椅子が固定されている大教室が多い場合は、講義形式の授業が多いのかもしれません。机・椅子が可動式の小教室が多い場合は「アクティブラーニング」が頻繁に行われている可能性が高いのかな……などと予想できますね。

【4】実験・実習の設備

自分が学びたいことに関連する設備や実験設備がどれくらい充実しているのかは調べておきましょう。

【5】「ラーニング・コモンズ」の充実度

ラーニング・コモンズは、仲間と話し合いができる自習用空間・設備のこと。グループワークに積極的な大学は、ラーニング・コモンズの整備にも力を入れていることが多いです。

【6】研究室があるエリアの様子

教員の研究室があるエリアの廊下に掲示されているポスターを見ると、その大学で行われている研究テーマを知る上で参考になります。意外なテーマが意外な学部・学科で扱われていることもあり、進路を検討する上で参考になりますよ。研究室公開を行っている場合は、教員から直接話を聞くこともできます。興味のある研究室を訪問してみましょう。

【7】キャリアセンターの様子

掲示物を見ると、どのような企業からの求人があるのかが分かることも。求人票に職員が補足情報やアドバイスをびっしり書き込んでいるような大学は、就職指導に熱心であることがうかがえます。

【8】国際交流センターなどの様子

留学や語学学習の拠点となっている施設を見学すると、どのようなプログラムや支援制度を利用できるかが分かります。熱心な大学では、英語のみでコミュニケーションを取るスペースが設けられていることもあります。

【9】学生の様子

オープンキャンパスの運営に携わる学生にも注目してみてください。学生同士のコミュニケーションの様子や、来場者への対応の仕方などを観察してみると、どのような学生がいるのか、普段からさまざまな大人と関わる経験をしているのか、といった点を知る手がかりになるはずです。

【10】学生寮の有無・内容

留学生も含め、学生同士の共同生活を通じて学びを深めることを意識した設計がなされている学生寮も、近年では少なくありません。学生寮に入るか、自分で物件を探すかを判断する上でも、一人暮らしを予定している人は見学しておくとよいでしょう。

まずは以上のようなポイントに注意して、大学の環境を吟味してみてください。見学するだけでは分からない事柄に関しては、個別相談を利用して、教員や職員、学生に直接質問してみることをおすすめします。

 

倉部史記(くらべ・しき)さん

進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。著書『ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。

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