「オープンキャンパスに行っておらず大学のイメージがつかめない」という声が読者の高校生から寄せられた。しかし総合型選抜や学校推薦型選抜といった「年内入試」で進学する人が増えつつある今、大学の情報は早めに集めるに越したことはない。オープンキャンパスの活用法を、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(安永美穂)

高1、高2から積極的に足を運ぼう

―年内入試で進学する人も多い今、オープンキャンパスの実施時期や内容はどう変化しているのですか?

以前は夏ごろから実施する大学が多い印象でしたが、近年は春休みや5~6月から複数回にわたって実施する大学も珍しくありません。参加するチャンスは以前よりも増えているので、高1・高2のうちから積極的に参加することをおすすめします。

大学によっては、年内入試を受験する人向けの志望理由書対策講座をオープンキャンパスで開催していることもあります。年内入試での進学を考えている人は、各日程のプログラムを確認した上で早めの参加を検討してみるとよいでしょう。

「参加してない」と分かれば悪い印象に?

―年内入試志望の場合、オープンキャンパスへの参加は必須ですか?

総合型選抜では、オープンキャンパスで実施する特定のプログラムに参加することが出願条件となることもあります。また、オープンキャンパスの個別相談に参加すると年内入試の面接が1つ免除になる、といったケースもあります。必須ではなくても、参加した方が得になることは少なくありません。

―参加しないと年内入試で不利になりますか?

絶対に不利になるとまでは言えません。ただオープンキャンパスに一度も参加せず、年内入試の面接の中でそれが判明した場合、「本当にうちの大学が第一志望なのか」と疑問を持たれてしまう可能性があることは否めません。面接では「なぜ、他の大学ではなく、この大学に入学したいのか」が問われます。オープンキャンパスに参加し、教育環境や方針などを他の大学と比較しておいた方が、志望理由などを明確に、より具体的に語れるのではないでしょうか。

個別相談で質問し志望理由書に反映しよう

―年内入試を志望する人は、オープンキャンパスをどう活用すればよいのでしょうか?

年内入試では、書類でも面接でも「私にはこういう夢がある」「私は大学生活をこう過ごしたい」など、「私」を主語にした意見を述べることが求められます。その大学が自分の思い描く成長に合うところかどうか、しっかりチェックしておいた方が良いですね。個人的に気になる点や知りたい点があれば、オープンキャンパスの個別相談で積極的に質問しましょう。

オープンキャンパスの個別相談は何を聞くべき?

個別相談で誰に質問できるかは大学により異なりますが、大学の授業や研究については教員に、入試制度や学費・奨学金、就職、留年や中退率、一人暮らしなどについては大学職員に聞いてみるとよいでしょう。大学生の先輩に質問できる場合は、「入学して苦労していることは?」「周囲に留年した人はいますか?」といったことを聞いてみると、リアルな大学生活が見えてきます。

また、「この先生が専門にしているテーマを学びたい」という意思が明確な場合は、その教員に会いに行って、具体的な研究内容、ゼミやフィールドワークの様子などについて聞いてみるのもよいでしょう。

 

倉部史記(くらべ・しき)さん

進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。著書『ミスマッチをなくす進路指導』(ぎょうせい)など。

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