教員免許を取得するには、学校に「教育実習」に行く必要がある。児童や生徒の前で授業をするにはどんな準備をしているのか、そして教育実習はどんな流れで行われるのか。大阪教育大学理事・副学長の峯明秀先生に聞いた。(文・野口涼、写真・大阪教育大学提供)
3~4週間授業を行う
—「教育実習」について教えてください。
教育現場で実際の教育を体験するのが教育実習です。大阪教育大学では3年次に3〜4週間にわたって行いますが、他大学や教育学部以外の学部では4年次に行うことも多いです。もちろんいきなり本番で授業はできません。教育実習が始まると、現場の先生の指導を受けながら学習指導案や授業で配布する資料を作ります。
―教育実習の流れを教えてください。
実習の前に「教科教育法」という授業で、授業をどのように行うかをまとめる「学習指導案」の書き方を学んだり、模擬授業を行ったりして、「授業をデザインする力」を身に付けてから臨みます。
学習指導案をもとに実際の授業で展開し、授業が終わったらうまくいったこと、いかなかったことを振り返ります。教育実習の学びの成果を、現場の先生を前に発表するのが、最後に行う「研究授業」です。教育実習期間の評価表をもとに大学の成績がつけられます。
「教え方」や生徒指導も学ぶ
—教育実習の他に、教員養成課程で行われる授業を教えてください。
各教科に関する専門教育を行います。英語科の教員になるなら英語に関する授業、例えば英語の個々の音を発する仕組みを学ぶ「英語音声学」などです。理科の教員になるなら理科の専門的な内容に関する授業や実践的なスキル、例えば「物理学」「化学実験」「生命科学」などを受講します。
あわせて、「教科教育法」というそれぞれの教科の教え方も学んでいきます。
教科に関する授業のみならず、学校における「ダイバーシティと教育」や「生活指導」を学ぶ授業や、児童生徒の発達を心理の側面から学ぶ授業もあります。
―学生はどんな力を身に付けますか?
教員養成課程で学ぶことで、それぞれの教科に関する指導力、そして児童生徒への対応力が身につきます。最近では、「教科横断と探究」や教育データを活用する力、教員自身が意欲的に学び続ける姿勢・態度を身に付けることも重視されています。
峯明秀(みね・あきひで)
大阪教育大学理事・副学長。香川県出身。1986年香川大学教育学部卒業。高松市の公立中学校社会科教員を経て2004年から大阪教育大学に教員として着任。中学校教員在職中の1991年に鳴門教育大学大学院で学び修士課程修了。復帰後、中央教育審議会教育課程部会教科別専門部会委員を務める。2010年に広島大学大学院博士後期課程修了。博士(教育学)。 2024年4月から現職。