教員を志す高校生が目指す学部といえば「教育学部」だ。教員免許は他の学部でも取得できるが、教育学部に進学するとどのようなメリットや違いがあるのか。教育学部で学べる内容を、大阪教育大学理事・副学長の峯明秀先生に聞いた。(文・野口涼、写真・大阪教育大学提供)

大きく二つの分野に分かれる

—教育学部では何が学べますか?

未来を担う児童・生徒の成長のためにどのような教育が適切なのか、一人ひとりをどう大切にし、学びを支援したらいいのかを探究するのが教育学部です。学校の先生を目指す上で必要な教育制度や法規、児童生徒の理解、各教科の内容や教育方法、情報機器の活用など教育や教職全般にかかわる学びをするということになります。

大阪教育大学の授業の様子

―先生になるための「教員養成課程」では、何を学ぶのですか?

幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校といった学校種、さらに中学校・高校では教科ごとに分かれた教員免許の取得を目指し、それぞれのコースに分かれて学んでいきます。最大の特徴は、卒業要件として「教員免許の取得が義務付けられていること」です。コースごとのカリキュラムに沿って履修し、単位を取得すると、卒業時には免許を取得できます。

複数の免許を取る学生も

―複数の教員免許を取る学生もいると聞きます。

最近では、教員養成課程の学生が取得する免許は一つとは限りません。というのも、18歳人口が激減するなか、校種や専門が異なる複数の免許を持っている教員のニーズが非常に高まっているからです。自治体によっては一人の教員が複数の教科の授業を受け持ったり、美術や英語の教員が小学校と中学校の両方で教えたりすることも珍しくありません。大阪教育大学の教育学部ではこうした現状にも十分に対応できるカリキュラムを用意しています。

―教育学部では、教員養成課程以外のすべての学科でも、教員免許の取得が必須なのでしょうか?

「先生になる」というイメージの強い教育学部ですが、教員免許の取得が義務付けられていない学科もあります。例えば、大阪教育大学の場合は教育協働学科が該当し、地域と協働しながら多様な教育課題を解決するための学びに取り組んでいます。

ただし、教育協働学科でも半数くらいの学生が、専門の科目にプラスして教職科目を履修し、中学校や高校の教員免許を取得しています。こうした状況は他の大学の教育学部も同じではないかと思います。

「子どもに寄り添いたい」人に向いている

―他学部や総合大学でも、教職課程を履修すれば教員免許を取得できます。教育学部の教員養成課程で先生を目指すこととの違いはありますか?

総合大学などの一般の学部や、教育学部の「教員養成課程以外の学科」で教員免許を取得しようとする場合、自分が専門とする学問を学びながらプラスアルファで教職科目を履修し、単位を取得しなければなりません。

よほどやる気のある学生でないとなかなか免許取得まで至らないことが多いようです。ましてや二つ以上の免許を取得するのは難しいといえるでしょう。

—教員養成課程に進学するメリットを教えてください。

「教員養成に特化したカリキュラム」が用意されていることです。カリキュラムの中心に「教育実習」を据え、各教科の学びやICT(情報通信技術)を活用する力などを身に付けながら、教員になるための理論と実践を積み上げていきます。教員になるために必要な科目がもともとカリキュラムに組み込まれているため、無理なく単位を取得していくことができます。

教員養成課程と他学部で教員を目指す違い

―教員養成課程出身の教員と、他学部出身の教員に違いはありますか?

総合大学などの一般の学部で教員免許を取得する学生は、自身の専門である「自分が学んでいる学問自体」を児童・生徒に伝えたいという気持ちが強いように思います。

一方、教員養成課程には「人との関わりが好き」「子どもの成長を見守りたい」という学生が非常に多いです。「子どもたちと一緒に歩もう」という気持ちを持った人が、教育学部の教員養成課程に向いているのではないでしょうか。

 

峯明秀(みね・あきひで)

大阪教育大学理事・副学長。香川県出身。1986年香川大学教育学部卒業。高松市の公立中学校社会科教員を経て2004年から大阪教育大学に教員として着任。中学校教員在職中の1991年に鳴門教育大学大学院で学び修士課程修了。復帰後、中央教育審議会教育課程部会教科別専門部会委員を務める。2010年に広島大学大学院博士後期課程修了。博士(教育学)。 2024年4月から現職。