偏差値、雰囲気……大学選びで見るべきポイントはさまざま。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「やりたいことができる大学か、偏差値が高い大学を目指すか迷っている」お悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】やりたいことか、学歴がつく大学か

私は英語教育について学びたいと考えています。偏差値が低い大学や小規模の大学だとしても、学びたいことが学べ、私の性格に合う大学ならそこに行きたいと思っています。

しかし、親は「有名で偏差値が高い大学の方が、就職の際に有利になる」とすすめてきました。何度か話し合い、親からは「自分が行きたいと思える大学に行っていいと思う」と理解してもらえました。ただ、最近は親の言う「学歴になる」大学に進むのも一理あると感じています。

自分がやりたいことができる大学か、学歴がつく大学 、どちらを選ぶべきなのでしょうか。(ラムネ・高校1年女子)

「学歴で人を判断」は時代遅れ

こんにちは。石田勝紀です。高1の段階で英語教育について学びたいという明確な志があることは、とてもすばらしいことです。ぜひ、その志を貫いてみてください。きっと実現します。

やりたいことか学歴、どちらを選ぶべき?

さて、ご質問ですが、大学選びの際に、自分がやりたい事ができる大学か、学歴がつく大学かの優先順位についてですね。学歴と書いてありますが、いわゆる偏差値が高い大学という意味だろうと思います。ということは、「やりたいこと」か「偏差値」か、という判断になります。

この結論は明確で、「やりたいこと」です。なぜなら、時代は今、大きく変化しており、一昔前の「学歴主義」から「何ができるか主義」にシフトしつつあるからです。学歴で人を判断することや、学歴で判断して入社させる企業はもはや時代遅れの感があります。

学びたい分野を重視→偏差値順に受験

しかし、ここからが大切なお話になります。偏差値が高い大学が良くないのかいえば、もちろんそうではありません。偏差値のみで判断することが問題ということです。

「偏差値だけ」で大学を選ぶのはNG

例えば、たまたま理系の偏差値が高いからといって、医学部に行くとします。しかし、その子は医学に興味がなかったらどうでしょうか。医学部での勉強は苦行以外の何ものでもありません。場合によっては退学や転学するケースもあると聞きます。

ですから、やりたいことが明確であれば、

  • 1、その分野に関して学べる大学を選択
  • 2、次にその大学の偏差値を並べる
  •  

というプロセスを経てみてはいかがでしょうか。つまり、「やりたいこと」で1回スクリーニングし、その中で残った大学の偏差値が高い順に選んで受験していくということです。

そして受験結果については「どの大学に行っても学びたい分野を学べるのでラッキー」こう考えます。

「最高のパフォーマンス」目指そう

では、なぜ偏差値順に受けてみる必要があるのかといいますと、「高校時代にしか学べない学習をどこまで極められるかを試してみる価値がある」からです。ゲームのような感じです。どこまでのステージをクリアできたかというイメージです。結果として、完全にまでは極められなくても、自分の現時点での最高のパフォーマンスを発揮して合格したところが、あなたが行くべき大学ということです。

ゲームのように自分の力を試す

このように努力してきた人は、その後の人生が違います。その後も同じように、常に自分の最高のパフォーマンスを発揮することを目的にします。ただ有名だからという理由で入社したり、給料が高いからという理由で仕事を決めたりしません。結果として、自分がやりたいことを多くできる人が、人生を幸せに歩んでいきます。

「本当にやりたいの?」自問自答して

ただ、選択に悩む場合が一つだけあります。自分が学びたい分野の大学の偏差値がそれほど高くない場合です。つまり、ラムネさんの言う「学歴がつかない」という場合です。そのときは二つの方法があります。

一つは、「自分がやりたい分野は本当にその大学でないと学べないのか? と自問自答する」です。もう少し範囲を広げると他にもあるかもしれません。もう一つは、「やりたいことが本物であれば、その大学を選択する」ということです。

以上、少しでも参考になれば幸いです。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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