「食料」と「環境」に関するさまざまな課題を解決する農学部。一体どんな高校生がむいているのだろうか? 北海道大学農学部長の野口伸先生に聞いた。(文・野口涼、写真・北海道大学提供)

食料と環境問題に関心を持って

―どんな高校生が農学部に向いていますか?

食料と環境の問題に関心を持ち、解決したいというモチベーションを持っていることが重要だと思います。高校の理科が得意な人、とくに実験やデータを取ることが好きな人にも向いているかもしれません。

ザンビアで行われているプロジェクト

―農学部を目指したい高校生が身につけておいたほうがよいことは?

生物・化学・物理・地学の基礎学力は不可欠です。なかでも生物や化学の知識を必要とする学問領域が多いので、しっかり勉強しておいてください。北海道大学では現在アフリカのザンビアに日本の米の生産技術を提供するプロジェクトなどを進めていますが、「世界をフィールドにした研究」に取り組むことも多く、海外の研究者とやりとりできる英語力も必須になります。

社会貢献の形は多様

―野口先生が思う、農学の魅力を教えてください。

問題を解決する技術の開発や、データに基づく提言、政策立案などによって、社会に対して大きく貢献できることです。品種改良によって高機能食品を開発したり、AIや情報通信技術を生かした「スマート農業」で遠く離れた農場を管理したり、あらゆる角度から社会の課題解決に携われます。高校生の皆さんには、持続的な社会の担い手にぜひなってほしいと願っています。

野口伸(のぐち・のぼる)

北海道大学農学部長、農学研究院長。1985年北海道大学農学部農業工学科卒業、90年同大学大学院農学研究科博士後期課程修了。農学博士。97年北海道大学大学院農学研究科助教授、2004年教授、2023年4月から現職。研究分野は農業環境工学、農業情報工学。