新生活が始まり、心機一転「自分を変えたい」と考える人もいるでしょう。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「過去の失敗を引きずってしまう」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】過去の失敗を引きずってしまう

私は昔の失敗をずっと引きずっています。いまだに幼稚園の時の失敗を思い出し、「あの時、こうしとけば怒られなかったのに」となるくらいです。

いまだに幼稚園時代の失敗を思い出す

現在は違いますが、かつていじめられっ子だったこともあり、弱気で自己肯定感もとても低いです。最近はスマホなどの誘惑に負け、定期テストで10点台を2つもとってしまいました。自制心もなく、過去の失敗をずっと引きずって、勝手に悲しくなって死にたくなるけれど、自分が悪いから誰かのせいにすることもできません。

今、すごくつらくて、通学中に「今飛び込んだら楽かな」と考えてしまうほどになっています。私は今の暗い自分、誘惑にすぐ負ける自分が嫌いです。どうすれば自分を変えられるでしょうか。(みみの・高校2年女子)

「変わりたい」と思えるのはすごい!

失敗は必ず起こるもので、思い出すと嫌な気持ちになる経験は誰でもあります。ふと思い出して、つらくなることもありますよね。みみのさんは、いじめられっ子だったとのことから、思い出したくないことが多くあると思います。そんな中、「どうすれば自分を変えられるか?」という気持ちが持てるのはすごいことです。どうしていければよいか、一緒に考えてみましょう。

「自分が望む自分」をイメージしよう

日常生活で失敗を思い出しやすい場合、何に気持ちを向けるといいと思いますか? 私は「自分が望む自分」を日頃から念頭におくこと、望む自分の行動を日常場面で具体的にイメージすることではないかと思います。

「なりたい自分」をイメージして

今回、私はみみのさんに「もし過去の失敗を引きずらないようになったら、みみのさんは、どんなことができるようになっているでしょうか。『話しかけたい人に、自然に自分から話しかけている』など、なるべく日常生活にありそうな場面で、具体的にいくつか考えてみてください」と問いかけました。みみのさんからは次のような返事をもらいました。

  • 1. 自分が「やろう」と思ったことをすぐに行動に移せる。
  • 2. 話しかけたい人に自然と話しかけられるようになる。
  • 3. 自信を持って人前で発言できる。
  •  

すてきなイメージですね。極力、日常生活でそのイメージに目を向けておくことが大切だと思います。

行動パターンをルール化してみて

これは私の推測ですが、はじめの2つに関してはその場で考え始めると「うまくやろう」という気持ちが強くなり、行動に移せなくなる可能性が高いように思います。みみのさんのすてきなイメージを保ちつつ、「とりあえずやってみる」姿勢に挑戦しませんか?

それにはコツがあります。「まずは手近なことから行動する」「どう行動するのかルール化しておく」「70点ぐらいの行動を考える」ことです。

行動パターンを決めておく

例えば「朝、クラスメートに会ったら、すぐあいさつをする」「ささいなことでも、ありがとうを口にする」「分からないことは『いま聞いてもいい?』とまず言う」など行動を決めておきましょう。考え込む時間と労力、失敗を思い出す余地を少なくすることが大切です。

行動できた経験が多くなれば、充実感や「なんとかやれた」気持ちが得られるはずです。その気持ちが積み重なると、自分に対する自信につながります。みみのさんの頭の中を、そんな経験で一杯にしてください。応援しています。

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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