どの大学、学部に進学するかは、人生を左右する大きな選択。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「やりたいことが見つからず進路が決められない」というお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】やりたいことが見つからず学部が選べない

特にやりたいことが見つからず、「なんとなく理系が得意かなー」と思い、なんとなく国公立理系コースに進学して今に至ります。「好きで得意なことを仕事にしたい」とは思いますが、それがなんなのかがわかりません。

国公立理系の難しいところに行きたいという思いはあるのですが、実際の学部学科となると悩ましく、どうしても進路が決められません。適性検査などの診断も少々受けてはいますが、イマイチしっくりくるものがなく、困っています。(あおいひと・高校3年女子)

「なんとなく」で進路を選ぶ生徒は少なくない

こんにちは。石田勝紀です。進路を選ぶ際、ぼんやりとまだ決まっていないとき「なんとなくこっちの方向かな」ということでコースを選択する高校生は少なくありません。「数学が得意だから」「国語で苦手だから」など、科目の得意、不得意で選択することもあります。

ぼんやり進路を決める生徒は少なくない

もちろん、進路が明確に決まっていれば、それに越したことはありません。すると受験科目に不得意科目があっても、「行きたい」というモチベーションが高いため、不得意科目を克服できる可能性が高くなります。

しかし、あおいひとさんはそのケースではありません。コースを先に選択し、今後そこから進路先を決定することになります。では、ここからが本題です。どうすれば自分の行きたい進路が見つかるか、その方法について例え話を使ってお伝えします。

「トーナメント」をして比べてみて

ランチをするのに、友達とレストランに行ったとします。そのレストランのメニュー表には、たくさんの食事が表示されていて、どれも食べたいような、食べたくないような、いまいちしっくりくるものが見つからないとします。そのようなときどうしますか? 友達が選んだものを自分も注文するか、お勧めを注文するのではないでしょうか。しかし、それだと自分の食べたいものではなかったりします。

「トーナメント」で決める

そのとき、トーナメント方式で決めていきます。すると自分の感性が引き出され、潜在的に望んでいるものにたどり着くことができます。

例えば、中華、和食、洋食、エスニックと4種類あったとします。「中華と和食だったらどちらがいい?」と自問自答し、中華を選んだとします。次に、「洋食とエスニックだったらどちらがいい?」と自問自答し、エスニックを選んだとします。さらに「中華とエスニックだったらどちらが言い?」と自問自答します。すると、中華になったとします。次に、中華の中で、「麺とご飯だったどちらがいい?」とより詳細に選択していきます。

選択肢が二つ以上あってもOK

もちろん二つの選択肢でなく、三つの選択肢、四つの選択肢で選ぶことができれば、それでも構いません。選びにくいときは二つにして、どちらかを選ぶようにすると選べますので、選択肢は迷い度合いで数を決めてください。

こうして、絞り込んでいくと、最後に残ったものが、自分が潜在意識で食べたいと思っているものです。もちろん、ランチでこのようなことはあまりしませんが、例え話として理解してください。

大項目→中項目に絞って選ぶ

進路も同様です。複数または二つずつ選択していきます。そして「A学部とB学部だったらどちらがいい?」という具合に、「勝抜戦(トーナメント)」をして絞ってみてください。

なお、どのような学部、学科があるかわからなければ、進路指導の先生に聞いてリストをもらってください。すべての学科まで集めると膨大な数になるので、工学、理学、薬学、医学などの大項目から、さらに学科のメジャーな中項目で選択していきます。これをやってみるだけでも、自分はどの方向に興味があるかを浮き彫りにすることができます。ぜひ試してみてください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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