モノクロの画面から、こちらをじっと見つめる両目。思わず後ずさってしまうようなインパクトのあるこの作品は、第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)の写真部門に出品されました。撮影した林いろはさん(長野・飯田女子高校2年)に、作品に込めた思いやこだわりについて聞きました。

怪人(第47回全国高校総合文化祭 写真部門出品)

母の顔を被写体に

―作品のテーマを教えてください。

「インパクト」がテーマです。光と影が際立つインパクトのある写真を撮りたいと思い、母の顔を大きく写した写真を撮りました。光と影を使うことで日頃の母とは全く違う印象を与える写真にできないかと考えて試行錯誤した結果、初めて見る人がギョッとするようなインパクトのある恐ろしさを表現できたと思います。「一度見たら目に焼き付いて忘れられないような写真を撮りたい」という思いで撮りました。

モノクロにしてインパクト増幅

―こだわったり工夫したりしたポイントはどこですか?

下からライトを当てて迫力が出るようにしました。目力が欲しかったので、家族の中で唯一二重の母に被写体になってほしいとお願いしました。よりインパクトが出るようにモノクロ写真にしたのですが、肌の質感が分かりやすく出たのでよかったです。

―難しかった点や苦労した点について教えてください。

下からライトを当てる角度を少し変えるだけで被写体である母の顔の印象が大きく変わったので、一番怖く写るようにライトの位置を調節しました。母にライトを持ってもらって撮影したのですが、部屋の電気を完全に消すと顔が暗くなりすぎてしまい……、間接照明だけ点けるなどして明るさを調節しました。ちょうど良い明るさにするのが難しかったです。

夜中に眠気と闘いながら撮影

―制作中、印象に残っているエピソードはありますか?

顔を大きく写した写真以外にも、横顔の写真や目だけが写っている写真を撮りました。夜中だったので母が眠気と闘いながら撮影に協力してくれたことや、「もっとこうしたら面白くなるかな」などと相談しながら撮影したことを覚えています。

―よい作品を作るためのコツを教えてください。

「一つの被写体に対して上下左右、さまざまな方向から写真を撮る」「写したい物を足したり引いたりしてみることで写真の雰囲気や写真から伝わってくる物語が変わる」と先生に教わり、これを気にかけて撮影しています。入部した当時と比べると一つの被写体に対してシャッターを切る回数がとても増えました。