総合型選抜や学校型選抜といった「年内入試」で大学に進学する人が増えています。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「総合型選抜対策や定期テスト対策など、やるべきことがたくさんあって困っている」というお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】やるべきことがたくさんある

受験のために総合型選抜のための塾に通い始めたら、定期試験の勉強時間が取れず点数が大幅に下がってしまいました。部活も週に5回あるため、課題をこなすのに精一杯です。中学のときは学年で上位の成績だったのに今では真ん中くらいになってしまいました。

やるべきことがたくさんあって、どれからどうやって手を付ければよいのか分かりません。効率のよい勉強方法や、複数のタスクをこなす方法を教えてほしいです。(うどん・高校1年女子)

すべてをこなすには手順がある

こんにちは。石田勝紀です。総合型選抜の塾に通いながら通常の勉強、さらに部活動となるとかなり大変な日々を送っていますね。

部活や学校の定期試験をこなしていく必要がある高1段階で総合型選抜の塾にも行く人は多くはありません。推薦書の書き方や小論文、面接などといった総合型選抜に向けての対策は、高校の勉強にも慣れ、部活動も安定してきた高2の終わり頃から始まることが一般的です。

総合型選抜対策は高2からのスタートが一般的(写真はイメージ)

ですから、うどんさんは早い方です。早いとなると、慣れない生活リズムの中でオーバーワークになることは必然です。本来であれば、学校の定期試験を毎回しっかり取っていく方針をとることに集中していくことが賢明ですが、どうしてもすべてをこなしていきたいということであれば、次のような手順に沿って進めてください。

【1】紙とペンを用意する

今自分がやらなくてはならないことを書き出してください。例えば、部活動、総合型選抜塾の通塾と課題、学校の小テスト、宿題、定期試験勉強などです。他に習い事などをやっていたらそれも書き出します。

【2】スケジュール帳を用意する

次に、1週間見開きの手帳やノートを用意します。イメージとしては、横に曜日、縦に時間を書いてあるものがいいです。ノートに自分で書いても問題ありません。これをバーティカル(垂直)型といいます。これで時間が面積で捉えられるようになります。

スケジュール帳に予定を記入

【3】スケジュール帳に書き込む

【1】で書いた内容を見ながら、スケジュール帳に書き込んでいってください。いつ、何をやるのか。ここでいくつかコツについてお話しておきます。

一つ目のコツは、スキマ時間を活用することです。スキマ時間とは通学中、通塾中の車内での10分を利用するなど、ちょっとしたスキマ時間でできることはそこでやってしまいます。

二つ目のコツは、睡眠時間は絶対に確保することです。睡眠時間が減っていくと日中のパフォーマンスが落ちます。可能な限り減らさないようにしましょう。

睡眠時間は確保して

三つ目のコツは、学校の授業中、学校滞在中の時間を有効活用することです。総合型選抜対策もそうですが、学校の先生をどんどん使っていきましょう。「使う」という言葉は少々失礼ですが、先生はそれを待っています。質問しただけ学力は必ず伸びていきます。また学校に滞在している間に宿題はできれば終わらせてしまいます。

【4】定期試験の2週間前からは非常モードに切り替える

高校の定期試験で点数を取るためには2週間前から正しい手順で勉強する必要があります。量が多いため2週間はかかります。

【5】総合型選抜に向けて今できること

総合型選抜の塾に行っているのでその対策はすでにやっていると思いますが、大切なことを言っておきます。対策はパターンで学ぶのではなく、「あなたはどう感じる?」「あなたはどのような意見をもっている?」と独自性が大切になります。模範解答を真似するのではなく、それは参考レベルで、「自分はどうなのか?」が最も大切です。

ですから、人と同じであろうとするのではなく、「自分らしい考え、意見、思いを出していくこと」を日常生活でクセづけてみてください。これが最大の対策になります。以上、ぜひ参考にしてみてください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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