友達と話すとき、自分は相手にどんな印象を与えているでしょうか。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「会話で人と目を合わせられない」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】会話で人と目を合わせられない

人と目を合わせることができません。友達や仲の良い先生などは目を見て会話することができるのですが、そのほかのクラスメートや先生相手だと、顔ではなく手元や胸の辺りを見てしまいます。

会話のとき目を合わせられない(写真はイメージ)

小さいころからとても人見知りでしたが、幼稚園のころは自分から周囲に話しかけられました。しかし年長のときに男の子から嫌がらせを受け、小学校のころに女子からいやなうわさを流されたりしたことで、男女ともに怖くなってしまいました。

話す際に全く相手の目を見られないわけではなく、会話中に何回か、一瞬だけ目を合わせられます。相手から何か言われたことはありませんが、会話の後に「感じ悪くなかったかな」とモヤモヤし、翌日まで引きずってしまいます。

このままだと将来就職したときに困ってしまう場面が出てくるのではと悩んでいます。どうすれば目を見て会話することができるようになりますか?(音楽好き・高校2年女子)

見つめすぎてもプレッシャーに

みなさんは人と会話をするとき、相手のどこを見ていますか? 真剣さが求められる場面では「相手の目を見て話しなさい」と言われますが、相手の目をじっと見てしまうと、相手にプレッシャーを与えることもあり、話しにくくなることがあるようです。

視線は場面によってコントロールする必要がありますね。音楽好きさんがどのように会話していけるとよりよいのか、一緒に考えてみましょう。

長めの会話ではおでこや首元を見る

会話のときのマナーから考えると、適度なアイコンタクトはあった方がよいようですが、やはりじっと目を見ることは威圧感を与えてしまうこともあり、避けることがポイントのようです。少し長めの会話をするときは、おでこや首元を見ることがふさわしいようですので、自分の体が相手に向けられていて、視線もほぼ顔に向いている状態であれば、悪い印象を与えることはないと思います。音楽好きさんは会話中に何回か、目を合わせているようですので、相手に感じ悪く受け取られる要素も少ないのではないでしょうか。

会話のペースや相づちを工夫してよい印象を与えよう(写真はイメージ)

以前の相談でもお話ししましたが、人の印象はさまざまな要素から複合的に受けるものですので、会話の中で相手によい印象を与える工夫は、他の点でもできるとよいと思います。相手も落ち着いて話ができるように、会話のペースや相づちなど工夫や配慮ができると、よりよいのではないかと思います。

特に音楽好きさんは、視線を合わせることが苦手な人に対しては気付きが早く、より上手に配慮することもできるのではないでしょうか。

相手が話す内容に意識を向けて

今回のお話で私が気になったのは、音楽好きさんが過去に友達関係で嫌な思いをし、男女ともに怖くなってしまったということです。もしかすると、対面だと過去の嫌な経験に「ささやかれる」ことで相手に安心感が持てず、相手の顔が見づらくなる、目を合わせづらいと感じる場面があるのではないかと思いました。

「ささやき」には耳を貸さないで

そう考えると、いまは「ささやき」には耳を貸さず、相手が話す内容に意識を向けるようにして会話をすることがいいように思います。会話の中で、相手が安心してくれる、より話をしたくなる場ができたら会話も盛り上がり、音楽好きさんも楽しく人付き合いができるようになるのではないですか?

そういった経験の積み重ねが、いま気になっていることを解消させてくれるものと思います。「ささやき」に負けることなく、相手との会話にしっかりと意識を向けて、楽しい会話をより多く経験してください。

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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