経済や社会の仕組みを学ぶ経済学部。どんなことに興味がある人が、経済学部に向いているのだろうか。慶應義塾大学経済学部長の駒形哲哉先生に聞いた。(野口涼)

数学が苦手でも大丈夫

―経済学は文系の学問ですが、数学が必須と聞きました。数学が苦手でも経済学部で学べますか?

経済学部には数学を使わないジャンルの学問領域がたくさんありますから、ご心配には及びません。たしかに必修科目の「経済理論」には数学が必要ですが、経済学で使う最小限の数学だけを学ぼうと割り切れば何も難しくありません。幸い、数学が苦手な人に向けたテキストがたくさん出ていますので、心配な方はそうしたテキストを手に取ってみて、どんな数学が何のために必要とされるか、ゴールを先に知ると不安は解消されるでしょう。

「分からない」人こそ向いている

―どんな人が経済学部に向いていますか?

経済や社会現象に興味はあっても、漠然としていて、何を勉強したらいいのかよくわからないという人にこそ経済学部に入学してほしいと思っています。英語のスキルが高いとか、数学が得意であるとか、本をたくさん読んでいるといったことも重要ですが、仮にそれらが何もなくても「漠然とした関心」さえ持っていれば、それだけで経済学部に来ていただくに足る十分な条件になります。

経済学部に向いている人

実は私自身も大学に入ってから自分のやりたいことが明確になりました。最初から学びたいことがある立派な学生もいますが、実際には、そうではない学生のほうが圧倒的に多い。むしろ何を学べばいいかわからないからこそ大学に進学するのだと、胸を張って入学してほしいと思います。

 
駒形哲哉(こまがた・てつや) 1988年慶應義塾大学経済学部卒業、97年同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、1989年~1990年南開大学(中国)留学、(財)霞山会職員、獨協大学専任講師を経て、2000年慶應義塾大学経済学部専任講師、03年より助教授(07年より准教授)、11年より教授、21年10月より経済学部長。専攻分野は中国経済論(特に中小企業)・地域経済論。