周囲と自分を比べて落ち込んでしまった経験、ありませんか? 「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの寄せられた「周りの子の実力を認められない」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】進学校に入学、周りの子の実力を認められない

県内トップ校に入学し、そろそろ2年が経ちます。自分の能力不足に落胆するばかりの毎日です。

中学までの感覚で勉強しても良い点は取れません。睡眠時間が短くても授業中に眠くならない人もいるし、勉強しなくても点が取れる人もいるし、部活でとても良い成績を残しているのに勉強もできる人もいます。

周りの子と比べて落ち込む日々(写真はイメージ)

周りの子が自分よりも遥かに勉強ができることは、1年の4月のテストではっきりと分かりました。ですが、いまだにプライドが捨てきれないのか、周りの子の実力を素直に認められません。「私もあれくらいできるし」「あの子は部活入ってないし」と、表面上では仲良くできても、心の中では周囲の実力を認められないんです。

私は二つの文化部に入っていますが、合わせても週に3日、どれも18時までです。運動部のような身体的な疲れはありませんが、家で部活に関する作業をしないといけないので、勉強時間がしっかり確保できていません。平日の勉強時間は4時間程度で、本当は5時間やりたいと思っています。

特に、塾に通っていないのに東大レベルの実力がある友達と関わるとなると、劣等感を感じます。しかし同時に、成績は友達のほうが上なのに、「自分のほうが上だ」という気持ちが捨てられません。私も塾には通っていません。どうすればプライドを捨てられるでしょうか。(スイートポテト・高校2年女子)

勉強は量よりも質

こんにちは。石田勝紀です。スイートポテトさんの気持ち、もの凄くわかります。私も高校生のとき進学校に行きましたが、同じようなことを経験しています。周囲を気にしてしまい、またたいして勉強していないのにできる友人たちを見ては彼らを認めることができないなど自分の高校生時代を見ているかのようです。

私の場合は、最後までプライドが捨てきれずに、浪人に浪人を重ね、人生のどん底に落ちることで、ガラスのプライドが崩壊しました。しかしどん底になり、本質が見えたことから、本当の意味での勉強ができるようになる「あり方」がわかりました。随分と遠回りをしました。

自分自身を高めよう

そこで、スイートポテトさんには、劣等感を取り除く方法やプライドを捨てる方法ではなく、本質的勉強をして、自分自身を高めてしまうことにエネルギーを使うアドバイスをしますね。そのためには次の言葉を胸に刻んでください。

「勉強は量ではなく質」

スイートポテトさんはおそらく、勉強は量だと思っているのではないでしょうか。実は勉強は質なのです。質の高い勉強をするとは具体的に次の5つのことを言います。

【1】できることはやらない

例えば問題集を解く際、一回やってできていたのに不安になってもう一度やってみることや、計算ミスやケアレスミスを間違いとして認識し、再度解き直しをするということをやっているとしたら、それをやめてみてください。勉強はできない部分ができるようになったときに頭が良くなっています。その意味では、数学で問題を見て解けるのであれば、そもそもその問題は解きません。

問題集の使い方を工夫する

全ての問題を解かずに偶数番号のみ、奇数番号のみといったように、量を半分に減らしても問題ありません。すると勉強時間数は少ないのに、重要な点のみに焦点を当てているので効率的に伸びていきます。あまり勉強してないのにできる子はこのやり方をしています。

【2】わからないことに時間を使う

例えば、国語などで、「なぜ②が答えなのか」の解説があったとしても、ではなぜ他の選択肢は間違いなのか自分なりの言葉で説明ができる必要があります。わからないときは、そこに時間をかけて納得のいくまで行います。たくさん問題を解けばいいという話ではありません。一つのことが納得できるかどうか、それをやっていると脳の回路が開けていきます。これが「量より質」という意味です。これができる人が、本当の意味で賢くなる人です。

【3】疑問を持つ

上記の【2】をやっていると必ず「なぜ?」というキーワードがでてきます。この「なぜ?」が頭脳のスペックを大きく引き上げるマジックワードです。

「なぜこの解き方をするのか?」「なぜこの公式を使うのか?」「なぜこのような言い回しをするのか?」「なぜ答えは②であり、その他が違うのか?」となぜを使うと間違いなく頭脳のバージョンが変わります。

疑問を見つけてとことん解消する

【4】質問する

自力で考えてもわからないものも出てきます。それを一定時間以上使うのは無駄です。そのような問題にはふせんを貼り、まとめて先生に聞きに行きます。先生はそのために居てくれます。考えることなくすぐに質問すると頭脳のスペックが上がらないので、上記の【3】をやった後に行ってください。

【5】スキマ時間を使う

高校生は忙しいと思います。そのためスキマ時間を有効に使います。通学の電車やバスに乗っている10分を利用したり、待っている時間5分を利用したりします。進学校の生徒が部活で試合があるとき、試合の合間に単語を覚えていたりする光景はよく目にします。つまり、忙しい人ほど伸びるというのは、このようにスキマ時間を有効に使っています。このようなことができると睡眠時間を減らすこと無く学力を伸ばすことができます。

以上の5つをやっていると、自然と伸びていきます。下手にプライドを捨てることを考えるとおかしなことになります。プライドを意識せず、意識するのは上記の5つにしてみてください。すると、いつしか自分がトップ水準にいることが自覚できるようになります。ぜひやってみてください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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