自然界の「不思議」を解明する理学部。東北大学理学研究科長・理学部長の都築暢夫先生に、理学部に向いている人の特徴や、高校時代に身につけておくべきポイントを聞いた。(野口涼)
「好き」の気持ちが何より重要
—どんな高校生が理学に向いていますか?
理学部では「答えのない問題」に向き合います。その解明は決して平たんな道ではありません。ですからやはり「好き」であることが重要です。あとは簡単に諦めず、粘り強く継続できる人が理学に向いているのではないでしょうか。
—高校でも数学や理科を学びますが、高校の授業と大学の授業の違いを教えてください。
高校までの数学・理科の授業は「答えのある問題」を解くことによって、すでに完成している理論の基礎を身につけるものです。大学ではさらに「なぜそのように考える必要があるのか」を学び、その考え方を利用して実験や観測などを行うことで「答えのない問題」「不思議」を解明していきます。
探究心を持つことが大切
—理学部を目指す高校生が身につけておいた方がよいことはありますか?
自然界というのは分からないことだらけで、解明されていない「不思議」はそこら中にあります。「もっと詳しく知りたい」「その現象の裏側にあるものは何だろう」という疑問が非常に重要な発見につながっていくのです。高校生の皆さんには、自然界のいろいろな「不思議」に敏感になってほしいと思います。
—高校生にメッセージをお願いします。
理学の研究によって創造した新たな知は、工学・医学・農学はもちろん、社会のあらゆる分野で活用されることで人類を支えています。自然や数理現象の不思議を探求し、解明したいという皆さんと一緒に研究に取り組めることを楽しみにしています。
都築暢夫(つづき・のぶお)
宮城県仙台第二高校卒業。1992年9月東京大学大学院数理科学研究科第一種博士課程中退。1996年3月博士号取得(数理科学)。広島大学大学院理学研究科教授を経て、2008年4月より東北大学大学院理学研究科教授。専門は整数論・数論幾何学。2023年4月より現職。