私たちの身の回りで起こる問題を、「法律」を使って解決する力を養う法学部。どんな高校生が法学部での学びに向いているのだろうか? 早稲田大学法学学術院長・法学部長の田村達久先生に聞いた。(野口涼)

関心ある問題を分析する姿勢が必要

―どんな高校生が法学部で学ぶのに向いていますか?

まずは社会におけるさまざまな問題に関心を持っていること。さらに、関心を持った物事を冷静に分析しようという姿勢があるかどうかが重要です。

法学部にはどんな人が向いている?

社会とはいろいろな考え方を持っている人たちの集まりですから、ある事件や問題が起こったときは「賛成・反対」「正しい・正しくない」と意見が分かれます。そしてどちらの意見にもそれなりの理由があるわけです。

意見が分かれた時は予断や偏見を持たず、まずは両者の考えを自分の中に取り入れること。その上でしっかりとした根拠を持って自分の意見を主張できる人材を法学部では育てたいと考えています。

高校の勉強全てが役に立つ

―法学部志望の高校生が身につけておいたほうがよいことはありますか?

デジタルでもいいので、新聞を読む習慣をつけてほしいですね。他にも本を読んだり情報収集をしたり……世の中で起こっていることに関心を向けられるとよいでしょう。

―高校での勉強内容と法学部で学ぶ内容はどのように結びつきますか?

高校で学ぶあらゆる科目が法学部で役に立ちます。「物理や化学といった理系科目も?」と思うかもしれませんが、新しい医薬品や化学物質、流行りのAIなどを社会実装する際は、想定されるリスクに備えて必要な制度を設ける必要があります。それを考えるのも法学の役割。このときそれぞれの分野の基礎知識が重要となるのはいうまでもありません。

日本の法律はヨーロッパの思想を受け継いでいるため、法学を学ぶにあたっては外国法のあり方を調べることがとても大切になります。英語力は必須ですので、きちんと勉強しておくととても役立ちます。

 

田村達久(たむら・たつひさ) 早稲田大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科公法学専攻修士課程修了。博士後期課程単位取得退学。専門は公法学。2022年9月より現職。