「最強」の格闘技ロボットを囲む部員と神永先生

ロボット界の未来を担う「スーパー高校生軍団」が神戸にいる。兵庫・神戸市立科学技術高校の機械工作部は昨年9月、二足歩行ロボット格闘競技大会の最高峰「ROBO-ONE」で社会人チームなどを破り、史上初めて高校生として王者に輝いた。その業績と熱意で5月中旬、すしロボットなどで知られる業界トップクラスの企業と業務提携することも決定した。
(文・写真 土谷美樹)

社会人・大学生を破る

ウィーン、ギュイーン……。高さわずか50㌢のロボットが、金属音を立てながら側転を決め、わが身ほどのぬいぐるみを投げ飛ばす。コントローラーを手にロボットを操作する部員たちの目はキラキラと輝いていた。

彼らこそ、並み居る社会人や大学生のチームをなぎ倒したスーパー高校生だ。昨秋、矢田貝萌成君(3年)が製作した「らいお」が、約110体出場した「ROBO-ONE」を制覇。矢田貝君は「優勝したのはもちろんうれしかったけれど、これは僕だけじゃなくて全員で勝ち取ったもの」と、チームワークの勝利を強調した。

製作に掛けられる予算は社会人チームの約4分の1。それでもロボット製作への情熱は誰にも負けない。大会前には終電近くまで学校に残って改良に励み、夏休みは午前10時から午後10時まで作業に没頭する。淡路島の自宅まで海を渡って往復4時間以上かかる部員もいるが、誰一人、弱音を吐く者はいない。

運動部員に勝る情熱と根性

機械工作部の部員

わずか創部5年。その技術力と熱意に業界のトップ企業がコラボ企画を持ち掛けてきた。具体的な内容はこれから決まるが、企業側からラブコールを送られるのは異例中の異例だ。

「どんな運動系の部活にだって負けない情熱と根性が、彼らにはあります」。2009年、同部の前身となる同好会を立ち上げた、顧問の神永克哉先生は目を細める。部長の土井勝登君(3年)は「ロボット作り以上に僕はリーダーシップ、部員は社交性や『人のために何かをする』人間関係の大事さを学べている」と胸を張った。

目下の目標は、7月に開催される「姫路ロボチャレンジ」の7連覇。日本、いや世界のロボット界をけん引するかもしれない〝金の卵〟たちは今日も目標に向かい、地道に努力を重ねる。