やるべきことを遠ざけてゴロゴロしてしまった経験、ありませんか?「20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「頑張りたいのに頑張れない」というお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】頑張りたいのに頑張れない

頑張りたいのに頑張れません。勉強や部活だけでなく、将来の夢に関する勉強なども頑張れません。すぐに楽な方向に行ってしまいます。

ついついスマホに手が伸びる(写真はイメージ)

私には将来、韓国語と英語の翻訳家になりたいという夢があります。でも英語は大の苦手で、韓国語はどうやって勉強すればいいかわからず、めんどくさく思ってしまいます。15分ぐらい頑張ろうとしていますが、すぐにスマホを触ったりゴロゴロしたりしてしまいます。

自分のパソコンをよく夜に使ってしまうので、親に使う時間を管理してもらっています。でも、スマホのモバイル通信を使ってパソコンを開いてしまうなど、どうにかしてサボってしまいます。

中学受験に合格して達成感があり、中学時代は全然勉強してきませんでした。地元の中学よりはいい中学に通ったので、危機感もなかったのかもしれません。高校に入ってから頑張ろうしているのに、全然頑張れません。どうすればよいのでしょうか。(ぐぅ・高校2年女子)

まず最低限のやるべきことだけする

こんにちは。石田勝紀です。韓国語と英語の翻訳家になりたいという夢があるなんてすばらしいですね! 私が高校の時、夢が全くなかったのですばらしいなと思います。さて、頑張りたいのに頑張れないということでの相談ですね。

よくあります、そういうこと。特に中高一貫校では早ければ中3ぐらいから、遅い場合は高1から高2にかけてそれがきます。それを「中だるみ」と言います。

今は「階段の踊り場」にいる

これはどういうことかというと、階段をイメージしてみてください。階段を上がって上の階に行くとき、途中に「踊り場」という平たんな部分があることがありますよね。その踊り場を通過して、さらにまた階段で上がっていくと上の階に到着します。今、ぐぅさんは、ちょうど踊り場にいるのです。この踊り場があるから次の階段を上がっていけるのです。踊り場では、もんもんとすることがあり、やりたいのになかなか気持ちが上がっていかないということもあります。そのようなときは、最低限のやるべきことを淡々とやるだけにしておきます。大きな夢に向かって頑張るという気持ちを少し抑えていきます。

すると、徐々に気持ちが上がっていくようになります。ということなので、高3ぐらいには変わっていくと思いますが、それでは遅すぎると思うので、ここでアドバイスをしますね。

その気持ちは本当に「本気」?

「頑張りたいのに頑張れない」というのはどういうことかと言うと一般的に「実はそれほど本気で頑張りたいとは思っていない」ということが背景にあります。このコメントを聞いてドキッとしたかもしれませんね。人間は、「本気」でやると決めたら必ず行動「してしまう」のです。

本気になった行動「してしまう」もの

例えば、英語の勉強を本気で決めると、まず学校の先生に相談に行きます(行動)。そして、先生に何をどのように勉強したらいいか相談します(行動)。次に家での勉強を始めます(行動)。スマホをすぐ見てしまうのであれば、親に伝えてスマホを預かってもらうなどの処置をとります(行動)。家で集中できなければ、カフェや自習室などに行きます(行動)。さらに進捗(しんちょく)状況が自分で管理できなければ学校の先生にお願いして1週間に一度チェックしてもらいます(行動)。と、このように必ず行動してしまうのです。

ですからまず、「本気」でやりたいのかどう自分との対話をしてみてください。今がまだ本気になれないのであれば、まだ踊り場の段階だと思います。

スマホの誘惑は断ち切ろう

ぐぅさんの場合は目標があり、何をしていきたいかというものが明確なので、あとは始めの1歩の行動だけです。それが動き出せば、次々と行動するようになります。もちろん、行動している途中でスマホの誘惑がやってきます。ずっとスマホと共にいるので、ない生活が考えられないほどになっているのです。ですから、「勉強で使うからスマホは必要」という理由を作って手元に置きたくもなります。でも、それが弊害になっていることが、ぐぅさんは分かっているので、上記のような行動を取ってみるといいと思います。

ぜひ「本気」かどうかの確認から入り、始めの1歩を踏み出してみてください。必ず変わっていきます。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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