高校生プロスノーボーダー平岡卓(大阪・上宮3年)=奈良・御所中出身=は、ソチ五輪(ロシア)スノーボード競技(ハーフパイプ)への出場が有力視されている。「目標は金メダル」と言い切る平岡の原点には「大好きなボードをいつまでも続けたい」という純粋な思いがある。 (白井邦彦)=2013年11月取材

■ソチ五輪のメダル候補

ソチ五輪と同じコースで争われた、今年2月のFIS ワールドカップ(ロシア)では、参加選手中唯一の90点超え(90.25)をマークして初優勝。縦2 回転と横3 回転を組み合わせた大技「ダブルコーク」を完璧に決め、一気にソチ五輪のメダル候補へと駆け上がった。五輪について「まだ出場も決まってないので実感はない」と話すが、「(出たら)いつも通り楽しんで金メダルを取りたい」と言う。世界で経験を積んだ、自信の表れだ。

6歳でスノーボードを始め、12 歳でプロに。2010 年8月、14 歳で初めて国際大会(ニュージーランドオープン)に出場して2位になる。優勝は逃したが「世界でも意外といけると感じた。緊張もなく、楽しく滑れたし、いつも通りやれば通用する」と手応えをつかんだ。「楽しめれば結果も付いてくる」感覚を、自分のものにした瞬間だった。

同月、FIS ジュニア世界選手権(ニュージーランド)で国際大会初優勝を飾る。翌年の同大会で2連覇を達成し、名実ともに世界のトップライダーへと躍進した。

勉強はトップクラス

普段は物静かな平岡。スノーボードに対する姿勢はストイックだ。「まだまだ足りないけど、日常会話くらいはできる」という英語力を生かし、1年の約半分は大会や合宿などで海外に出掛ける。日本にいる時は毎週末、雪を求めて岐阜や長野へ出向く。平日も自主トレを欠かさない。

忙しい日々を送るが、担任の九折龍夫先生によると「学校の成績はトップクラス」という。「移動時間に勉強します」と平岡。高校生としてやるべきことをやった上で「スノーボードを楽しむ」のが流儀だ。卒業後は、立命館大学へ進学することが既に決まっている。

「長くプロを続けられる環境を自分で維持しないといけない」と話す平岡は「これからも成績を残していくことが大切。五輪も、他の大会と同じく勝つことが重要」と続ける。ソチ五輪の金メダルは、プロを続けていくためにも必要なビッグタイトルだ。

◆一問一答◆

好きな漫画 「 北斗の拳」 一番好きなキャラクターは「ラオウ」
好きな音楽 レゲエ、ヒップホップ
好きな食べ物 ホルモン(てっちゃん)
海外に必ず持っていくもの パソコン。
移動中にDVD を鑑賞したりメールを したりする
宝物 自分の体

メモ: ソチ五輪に出場できるハーフパイプ男子の日本人選手は4人。ワールドカップの戦績などを元に、全日本スキー連盟と日本オリンピック委員会が決定する。
ハーフパイプとは? 雪で固めた半円筒状の専用コース(全長102㍍)を振り子のように左右に滑り、斜面を利用してジャンプや回転などの技を競う。五輪では1998 年の長野五輪から正式種目に。

ひらおか・たく
1995 年10月29 日、奈良県生まれ。今年1月の世界選手権(カナダ)で2位、2月のFIS ワールドカップ(ロシア) で初優勝。8 月の同大会(ニュージーランド)で2位。9月の「BURTON HIGH FIVES」(同)で優勝。168㌢、60㌔。