中田侑希さん(和歌山・神島高校2年)の作品「悠々」を紹介します。吸い込まれるような黒をバックに悠々と泳ぐあでやかな金魚を描いたこの作品は、「全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)」美術・工芸部門に出品されました。作品に込めた思いやこだわりを聞きました。(文・写真 椎名桂子)
水族館で金魚に一目ぼれ
―なぜ「金魚」を描いたのですか?
「美しい!」と思うものが描きたいと思っていて。水族館で見たこの金魚のうろこの部分が美しいな、と思ったので題材に選びました。
―制作にはどのくらいかかりましたか?
油絵では初めての作品だったので、3カ月半ほどかかりました。その期間はほぼ毎日、キャンバスに向かっていました。
うろこを描いたら絵が輝いた
―特に苦労した点など教えてもらえますか?
モノクロの作品しか描いたことがなかったので、色を塗るのがとても大変でした。大きさも以前描いた最大のものの2倍あって、下塗りの段階で、先が果てしなくてちょっと嫌になってしまい……。改めてよく完成できたな、と思います。
―制作中、印象に残っているエピソードは?
うろこを描き込むのがめんどうになってしまって、入れないで完成しようかと思っていました。でも顧問の先生から「入れたほうがいい」と熱心に言われて。はじめはちょっと嫌々でしたが、やり始めたらおもしろくなってきて、どんどん絵が良くなっていくので楽しくなりました。
―よい作品を描くためには何が必要だと思いますか?
「描くのが好き」ということだと思います。私もめんどくさがり屋ですが、やはり作品を描いていると集中してしまうし、楽しいと思えます。めんどくさい気持ちに負けないくらい描くのが好きになって、「描きたいと思えるものを描く」ことだと思います。