エシカルファッションについて発表した馬路ひなのさん(2月19日、第1回都内国立校SSH/SGH課題研究成果発表会)

東京・東京学芸大学附属国際中等教育学校の馬路ひなのさんと小山美海さん(ともに6年=高校3年)は、環境や労働問題に配慮した衣服に注目。こうした「エシカルファッション」や衣服の再利用の可能性などを高校生に伝えるため、ワークショップを開催するなどしている。(文・写真 野村麻里子)

労働力搾取の背景知る

2人は4年生の春、エシカルファッションを発信するイベントでボランティア活動をしたことがきっかけで研究を始めた。ファストファッションと呼ばれる安い衣服は、発展途上国で低賃金・長時間労働によって作られ、さらに大量に廃棄され環境に悪いと知った。

リサイクル素材やオーガニックコットンなど有機栽培による素材を用い、フェアトレード(適正な価格での取引)によって作られた衣服であるエシカルファッションを、同世代の高校生に向けて伝える方法を模索。エシカルファッションを推進する団体などにインタビューした。

ドキュメンタリーを上映

2人が情報発信しているインスタグラム(@HIMI_ETHICAL)

昨年1月からは「インスタグラム」を始めた。母のお下がりのワンピースを取り入れたコーディネートなど、高校生が実践できる、人や環境に優しいファッションや、エシカルファッションの商品情報などを発信してきた。校内ではワークショップを開催した。

ファストファッションがどう作られているかが分かるドキュメンタリー映画の上映会も校内で行った。「学ぶ場という硬い雰囲気はなく、楽しくワークショップができた。ファッションに興味がある女子だけでなく、男子生徒も来た」という。今後は「他校など校外でもワークショップを行って発信ができれば」と考えている。

【学校DATA】
2015年度SGH指定。組織力・対話力・実行力の育成を目指し、「リスク」「葛藤と軋轢」「教育」を主軸に課題研究に取り組む。