今年6月、入管法の改正案が可決され、難民認定の申請中でも外国人を送還できるようになり、「人権無視につながるのではないか」という懸念が広がっています。難民出身の友達がいる私が感じたことを伝えます。(高校生記者・すい=3年)

外国人送還のルールが見直し

入管法は「出入国管理及び難民認定法」のことで、日本に出入国する日本人・外国人の管理と、難民の認定手続きの整備のための法律です。6月9日、入管法の改正案が可決。難民認定の申請が原則2回までになり、3回目以降は申請中でも強制送還が可能になりました。飛行機の中で暴れるなど送還の際に妨害行為があった場合は、刑事罰が科されます。

入管法が改正された

これまでの入管法では、犯罪歴のある人や、難民申請手続きを何度も繰り返している人も、難民申請手続き中である限りは日本から強制退去させられず、彼らの長期収容が問題となっていました。政府は、このような問題点を改善するためとして、今回の改正を行ったのです。

しかし、「自分の国に帰ると危険である」などの理由で日本にいるのに、在留資格のない外国人を強制送還できるので、彼らを危険に晒すことになりかねません。

難民出身の友達ができ「身近な問題」に

難民を支援している弁護士の方の講演を聞く機会があり、入管法改正について知りました。「日本では難民認定がなかなか下りず、自分の国での危険から命からがら日本へ逃れてきた人たちが苦しんでいる」そうです。

講演を聞いてからも、自分が当たり前に暮らしている日本で起きていることに対し、悲しくは思ったものの、この問題について深く考えることはあまりなく過ごしてきました。自分とは直接関係なく、遠い世界のことと思っていたからでしょう。

しかしその後、私にパレスチナやアフガニスタンの元難民の友達ができました。友達と同じような人たちが、もしかしたら友達の家族が、日本で受け入れられずに酷な扱いを受けるとしたら日本人として悲しいし、この状況を変えるべきだと強く思うようになりました。

「日本は難民を受け入れない」

今回の改正で、今まで保護されにくい立場にあった外国人が護られやすくなるというメリットもあると思います。しかし私は、それだけではなく、新しい仕組みは日本での在留資格のない外国人の人権を軽視し、脅かし得るものだと考えています。日本では、難民申請を何度も繰り返してやっと難民と認定される人もいるからです。

難民など特別な理由がある外国人が人権を脅かされることなく、在留資格を持って日本に滞在しやすくなってほしいです。元難民の友達は「日本は難民を受け入れないというイメージがある」と言っており、そんなイメージを持たせてしまっているのは残念です。入管法に限らず、日本人以外の方々の人権ももっと尊重して法律を作っていくべきだと思います。

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