高校によっては入学して早々に文系か理系か決めないといけない場合もあります。もし、文理選択後に希望を変えたくなったらどうすればよいでしょうか? 20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、「高2で理転は間に合うか」という読者の悩みに答えてもらいました。

【お悩み】高2で理転は間に合うか

私は高1の時に「理系科目が苦手」という理由で勉強をおろそかにしたせいで、今は文系コースで日々勉強しています。

文系は興味がないと気づき

週2時間ある進路などを考える授業で、周りの同級生たちは行きたい学部や興味のある学問を何かしら持っていると肌で感じます。しかし、私はどうしても文系の分野でやりたいこと、学びたいことが見つかりません。「どうしよう…このままだと周りに置いて行かれる」。焦りや将来に対する不安など負の感情だけ持って、何にも興味が持てない「無」の日々を送っていました。

やりたいことが見つかったけれど…

理系で学びたいけど間に合う!?

この間、ふと「もしも自分が今、理系コースにいたら何を目指しているのだろう」と思いました。ただ一つ、自分が心の底からワクワクするもの。帰り道にいつもの癖で空を見上げた時、月や星が目に映って「…これだ!」となりました。「星を研究する仕事に就きたい!」という、自分の奥底に眠っていた昔からの夢を思い出しました。しかし、すぐに「文系では研究者は無理」という現実に気がつきました。
前置きが長くなりましたが、私は今、理転を考えています。そこで、「高2で理転は間に合うか」「学べていない数Bや物理は独学で可能か」「最悪、学校側に理転NGと言われた時、独学オンリーで私立大学には受かれるか」を知りたいです。もし理転が可能であればおすすめの勉強法や参考書を教えてください(霞・高校2年女子)

「覚悟があれば」不可能ではない

こんにちは。石田勝紀です。「自分の方向性が高校時代に決まった」ということは喜ばしいことですね。目標が決まれば、道筋が決まり、何をしたら良いか明確になります。ただし、霞さんは、今は文系で目標とする大学は理系となります。まだ文転の方が楽と言われますが、理転が全く無理というものではありません。何事も、不可能ということはありません。

何事も不可能なことはない

しかし、楽ではないということだけの話です。もちろん、霞さんはその覚悟があるから、この相談をしていると思われるため、応援したいと思います。それでは具体的に質問に回答していきますね。

ポイントは英語と数学の学力

まずは「高2で理転は間に合うか?」という質問です。高校3年卒業段階までで間に合うかどうかは、現在の英語の学力と数学の学力しだいです。

日本の大学入試は英語ができると有利

現在の日本の大学入試はなぜか、文系であれ理系であれ、英語ができると圧倒的に有利になります。また、数学は積み重ねの科目なので、どのレベルまで習得できているか確認が必要です。高1までの数学がどこまでできているか。もしできていなければそこから復習していく必要があるため、時間は多少かかります。

理科については、受験する大学によりますが、ゼロから学んでも1年、1年半ほどあれば習得は可能であると思います。ですから現在の学力レベルによって現役で合格できるかどうかが決まります。

数Bと物理は予備校か学校に頼ろう

次に「学べていない数Bや物理は独学で可能か?」という質問について。独学は100%無理とはいいませんが、基本的に不可能に近いと考えた方がいいでしょう。

予備校(オンライン含む)の授業を取るか、学校の先生に相談して数学B、物理のテキストをチョイスしてもらい、定期的にわからない部分を聞きに行く仕組みなどを作らない独学では極めて難しいと思います。数学や物理は解説を見てもわからないことが必ず出てくるので、質問できる先生が身近に必要です。

独学で受かるかは現在の学力による

次は、「最悪、学校側に理転NGと言われた時、独学オンリーで私立大学には受かれるか?」についてです。独学オンリーは上記で述べたように受からないとは言いませんが、高3卒業時点で間に合うかどうかは、現在の学力(スタートライン時点)によります。浪人までの範囲を含めていえば、諦めなければ可能です。

まずは基本中心の問題集に取り組む

最後に「もし理転が可能であればおすすめの勉強法や参考書を教えてください」について。参考書に関しては、まずはできるだけ薄く基本中心の問題集を1冊、早々に終えるようにしてください。

問題集は3回転する

その後、少しボリュームがありレベルが少し高い問題集を行います。いずれも問題集は3回転させます。ただし間違えた問題のみ繰り返します。3回やってもできない問題がテストに出る問題です。解説を見てもわからない場合は、「必ず」付箋を貼って質問してください。その解説をできれば動画か、それが無理ならば大きめの付箋に書いて解説に貼っておきます。そしてしばらく時間を置いて、再度解き直しします。理系科目は特にこの地道な作業の繰り返しです。

以上、独学よりはペースメーカーを作り、それに沿って進め、不明点は必ず処理していくことをやってください。後は諦めないことが肝心です。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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