歌手としても活躍する女優の上白石萌歌さんに高校生記者がインタビュー。日本最大規模の合唱コンクールである「第90回NHK全国学校音楽コンクール(Nコン2023)」(通称:Nコン、NHK・全日本音楽教育研究会主催)の応援アンバサダーを務める上白石さんに、歌に青春を懸ける生徒たちへのエールや、歌に救われた経験などを語ってもらいました。(取材・海老原佑唯=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・渡辺秀之)

合唱コンクールは特別な行事

ー上白石さんは昨年、Nコンの全国コンクールで司会を務めました。

元々テレビで見ていたNコンにまさか自分が携われるなんて、思ってもいなかった出来事だったんです。長い歴史を持つNコンに司会として参加できること、大人になってあらためて“合唱”に関われることがすごくうれしかったです。

もちろん緊張はあったのですが、私以上に緊張しているはずの出場者のみなさんに私の緊張が伝わってしまわないよう、気負わず、楽しいひとときを過ごしたいと思いながら司会に臨みました。

上白石萌歌さん(スタイリスト:道端亜未、ヘアメーク:猪股真衣子)

ー中高生だったころ、合唱に深い思い入れがあったのですね。

はい。私は音楽の時間の合唱や、学校行事で行われる合唱コンクールがすごく好きでした。運動会や修学旅行とはまた違った行事の魅力を合唱コンクールに感じていて。全然違う声を持っているクラスメートたちが一つにまとまると力強い歌になったり、みんなが心のつながりを感じながら結束するところだったり。合唱のそんなところが好きなんです。

ー特に好きな合唱曲はありますか。

「時の旅人」です。今でも部屋で流して聞くこともあります。この曲は、歌声のトーンやリズムが曲中ですごく変化するんですね。それが気に入っていて。男声パート、女声パートで分かれる箇所も好きだし、歌詞もとても良いんです。合唱曲って、大人になってからより身に染みるなと実感しています。

音楽に心を救われた

ーご自身も歌手活動をされていますが、歌に救われた経験はありますか?

あります。お仕事でへこんだり、「自分なんて……」と思ったりすることが今まで何度もありました。そんなときに歌の歌詞に救われたり、ふと流れてきた自分が知らなかった曲に感動したり。私は音楽に心を救ってもらっているなと感じる瞬間がとても多いです。

上白石萌歌さん

曲を聴くと、その曲をよく聴いていた当時の自分を思い出すこともあります。GReeeeNさんの「桜color」は、地元を離れて上京するときに聴いていました。芸能活動のために私は鹿児島から上京してきたんですけれど、その時期に「桜color」を聴いていたんですね。

地元の友だちとの別れも寂しかったですし、「これから自分がどうなっていくんだろう」と将来への不安もある中で、GReeeeNさんの歌がすごく自分を包んでくれました。この曲を聴くたびに、あの頃の自分の気持ちを思い出します。

歌と密接する自分を大事にする

ー歌を歌うときに大切にしていることは。

歌うときの技術的な部分、歌手としての表現力など、まだまだ考えなきゃいけないことがたくさんあって、歌うことの難しさを日々感じています。そんな細かい部分の意識を持ちながら、「歌と自分がただここにある空間」を大切にしています。歌と密接にいる自分を大事にするというか。歌う瞬間はそれだけに没頭して、その歌の世界を味わうことを大事にしています。

かみしらいし・もか

2000年2月28日生まれ。鹿児島県出身。12年、女優デビュー。主な出演作は、ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」、映画「子供はわかってあげない」ほか。アーティスト名義adieu(アデュー)としての音楽活動では、3枚のミニアルバムをリリースしている。今秋放送予定のフジテレビ系ドラマ「パリピ孔明」にヒロイン役で出演する。

「第90回NHK全国学校音楽コンクール(Nコン2023)」

小中高の部門ごとに実施される全国各地での都府県地区コンクール、全国8ブロックでのブロックコンクールを経て、10月に全国コンクールが開かれる。NHKでは、これまでのあゆみや歴代課題曲などにスポットをあてる5分間のミニ番組「Nコン90!みんなで歌おう」のシリーズを放送中。Nコン90!応援アンバサダーの上白石萌歌さんが合唱曲として今も歌い継がれる課題曲を紹介する番組も放送中。詳しくはNコンHPをチェック。