高校生活は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】文理選択の決め方を教えてほしい

春から高校1年生になりました。通っている塾のガイダンスで、6月に学校で文理選択をすると聞きました。

「好きだから…苦手だから…」という理由で選ばずに、将来の夢や行きたい大学の受験などに必要なほうを選べと言われました。ですが、現在将来何をしたいか、どこの大学に行きたいかなどが決まっていません。どうやって文理選択をすればいいか悩んでいます。アドバイスいただきたいです。(高校1年・女子・あめく)

文理選択、どちらを選ぶべき?

進学後は文理の越境が難しい…

こんにちは。石田勝紀です。高校に入って早くも文理選択を迫られるという話はよく聞きます。日本以外の国では文系、理系と言わずとも自然科学、社会科学のような分け方になっていますが、大学に入ってから文理の越境が難しくない構造になっているようです。しかし日本は大学受験の段階でも文系と理系に分け、しかも進学後はよほどのことが無い限り文理の越境が難しい状況になっています。

将来イメージがはっきりしない中で文理を選ぶのは難しい(写真はイメージ)

このような状況の中で、高校1年の将来イメージが明確でない段階で、文理を決めろというのは少々乱暴すぎる考え方です。しかし一方で、学校教育のシステム上、高校2年から大学入試に向けた勉強をしておかないと入試に間に合わず、カリキュラムが消化できない事情もあります。ですから学校システムを円滑に動かすために高校1年段階で決めないとクラス分けができないことになります。

そのため、学校のシステムに合わせて生徒たちは決めていかなければならないという状況になっているということです。

ですから、あめくさんの気持ちはよくわかります。将来のイメージもまだ無く、行きたい大学も決まっていない高校生は全国にごまんとおり、皆困っているのです。しかし、困っているだけでは何も進歩はないため、次のことをされてみてください。

進路指導室で資料を調べよう

今回の文理選択を良い機会と捉え、自分の将来について考える時が来たと考えます。そして、まずは文系・理系を超えて自分の心が惹かれる分野について調べてみることです。

心惹かれる分野について調べてみよう(写真はイメージ)

調べ方は、進路指導室に行きます。そこには、たくさん資料があります。たくさん資料がありすぎて調べ方がわからなければ、進路指導の先生に聞いてください。快く相談に乗ってくれます。専門の先生に聞くということが大切です。わからないときに自分一人で考えないことです。どんどん聞いてください。そのほうが先生もうれしいものです。先生は親身になってあなたのことを考えてくれます。

このような文理選択を迫られる機会がなければ、なかなか自分の人生について考えることはないでしょう。良い機会であったと認識すると今後の勉強がはかどります。

今の学力で文理を判断しないで

以上のプロセスを経ると、行きたい分野や方向性が決まっていきます。明確に決めずとも漠然とした「方向性」程度で問題ありません。するとその方向性が文系なのか理系なのかが決まります。すると必要な科目もわかってきます。

よくやってしまう文理選択の失敗事例は、国語が苦手だから理系とか、数学が苦手だから文系だという決め方です。一見、シンプルで合理的なように見えますが、後悔する可能性が高いです。

苦手な教科も伸びていく(写真はイメージ)

行きたい分野が文系分野の場合、国語が苦手だとしても、必要だと思って勉強するので今後伸びていきます。それは理系に行きたいのに数学が苦手でも同じことです。ですから、現在の自分の学力で判断するのではなく、自分が向かう方向にしたがって現在の学力や科目を変えていくのです。ぜひ、参考にされてみてくださいね。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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