何度も手を洗う、同じ道を行ったり来たり……。私は、根拠のない考えにとらわれて、同じことを繰り返してしまう症状に悩まされていました。(高校生記者・プールサイド=3年)

カンニングを疑われることが怖くて

中学受験を控えていた小学6年生のころ。受験に向けて模試を受けるようになった私は、ある時、「カンニングを疑われること」に対して恐怖心を抱き始めました。

「カンニングしている」と思われたら…と考え不安に(写真はイメージ)

それ以来、テストを受けるときには、他人の解答が視界に入らないように、顔を極限まで解答用紙に近づけて体に負担のかかる姿勢で問題を解くようになりました。テストが終わった後は、当然ながら体が悲鳴を上げ、疲れがなかなか取れませんでした。

しかし、私はこの行動をやめられませんでした。「分かっていてもやめられなかった」のです。

「自分が出した命令」に悩まされ

中学校に入学すると、ますます悪化。次第に、一日数十回も手を洗うなどの潔癖症や被害妄想、加害妄想に悩まされるようになりました。そしてこの頃から「悪いことが起こるから、〇〇しろ」という根拠のない考え、「強迫観念」が私の行動を左右するようになりました。

その影響は学業にも及び、「一字一句丁寧に書かなくてはならない」という自分が出した命令に従ったために、宿題に膨大な時間を割いてしまい、提出が遅れかけたこともありました。

1日に数十回手を洗う潔癖症にも悩まされた

勇気を出してカウンセリングへ

困ったときに私たちがすべきことは、周囲の人々に助けを求めることです。カウンセラー、精神科医、自治体が設置した電話相談など、頼れる場所はあらゆるところにあります。とはいっても、なかなかこの一歩を踏み出せません。

私も、自分の悩みを他人に言うのは恥ずかしいと思い、カウンセリングを避けていました。しかし、ある時思い切って学校でカウンセリングを受けたところ、スクールカウンセラーの方からは軽い強迫性障害(強い不安感を打ち消すための行為を繰り返す症状で日常生活に支障が出る病気)、あるいはその前兆ではないかと言われました。スクールカウンセラーの方は丁寧に、「今後どうすればよいか」「場合によっては投薬治療が必要かもしれない」とアドバイスしてくれました。

自分を責めないで、ゆっくりでいい

スクールカウンセラーに相談したことがきっかけで、自然とこうした症状は治まりました。ですが、高校2年生の時に今度は受験の不安や劣等感による食欲不振や倦怠感が出て、精神科へ通院。不安障害と診断され、投薬治療を受けました。

今では回復し、安心して学校に通えています。「自分を責めず、ゆっくりでもいいから自分のペースで一歩ずつ踏み出していく」。この心がけが、何をするにも重要だと私は思います。