勉強や部活、進路に人間関係……中学・高校生活は悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の中学生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】緊張すると泣きそうになる

中1の後半から、30人くらいのクラスメートの前や15人くらいの部活の人の前で発表するときに、どうしても緊張して原稿がとんだり、震えて泣きそうになったりしてしまいます。例えば部活の最後にその日の振り返りをするとき、先生や他の子からみんなの前で意見を求められると緊張してしまいます。

人前で話すと緊張してしまう(写真はイメージ)

今年受験生になったのですが、面接がとても不安です。知っている人の前で発表するときですらつらくなるのに、初対面の面接官の前で何かを話すとなると緊張で泣いてしまいそうで怖いです。少しでもマシにする方法はありますか?(中学3年・女子・かほ)

意外と注目されてない

程度の差こそあれ、人の前で話すときは誰でも緊張しますよね。みんなの視線が集まっていると考えると、緊張で心臓がドキドキします。でも大切だと思う場面で緊張のあまり、自分の力が発揮できないと、悔しい思いをすることも事実です。では、どうしたら良いのでしょう。

自分が人の発表を聞くときは何を考えている?(写真はイメージ)

まず私たちが人の発表を聞くとき、どんなふうに話を聞いているでしょう。ただ聞くだけの立場だと、すごく気になる内容でなければボーっと聞いていたり、もし発表の順番が自分にも回ってくるとしたら、「何を話そう」と自分に気持ちが向いていたりすることもあると思います。多分、目の前の人たちは発表している私に対して、思っているほど注目しているわけではないと思うのです。

「自分の声」に惑わされない

一方で私たちが発表するとき、どんなことを考えるでしょう。「うまく話せるかな」「笑われるかも」などは考えますよね。多くは「みんなに〇〇と思われる」という“私の声”があなたを緊張させているのだと思います。

緊張する原因は「自分の声」にある

かほさんは緊張して原稿がとんでしまったそうですが、多分、その“声”が大きくて、頭がその“声”ばかりになったのではないかと思います。「うまく話せない」と思うからこそ、いっぱい練習をしようと思うのかもしれませんが、まずは“私の声”が何を言っていて、それは本当なのか、聞き流してはダメなのかを見直すとよいと思います。

事前準備で発表を乗り切る

部活動での振り返りのようなちょっとした発表は、話し方を準備しておくこともオススメします。発表が上手な人は周りにいますよね? その人のマネをするのもいいでしょう。発表の仕方を前もって考えておいて、その時の内容に合わせて部分的に変えれば、その場で「どんなふうに話そう」と焦らずにすみます。緊張の予防策も立ててみてください。

中学校生活の中で、高校入試は一番緊張する場面だと思います。面接官も受験生が緊張していることは分かっているでしょうから、それだけで悪い評価をすることはないと思います。緊張して涙が出たり、言葉を噛んだりしても、「この学校に入りたい!」というあなたの思いを一生懸命伝える姿勢で臨むことが大切なのではないでしょうか。そのためにも志望校についてしっかり下調べや見学をして、自分にとって良いところをたくさん見つけてください。

志望校調べや見学をして面接に備えよう(写真はイメージ)

入試の面接に限らず、かほさんが伝えたい大切なことを伝えたい場は、うまく話そうと考えるのではなく、自分の中でしっかり考えをまとめておく意識で臨むことをおススメします。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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