感情豊かな演技で人々を魅了する俳優の本郷奏多さん。「俳優を一生の仕事にする」と心に決めたのは、高校時代。演技に妥協は許さない。後輩の俳優の手本となる存在に成長した今、「後悔することなく挑戦する大切さを高校生に伝えたい」と語る。(文・中田宗孝、写真・玉井幹郎)

俳優を一生続けると決意

高校時代は芸能コースに在籍し、多くの友人に囲まれて過ごしたという。そのころから、俳優の仕事も順調に増えていった。「俳優を一生続けると決めたのは、高校時代なんです」

俳優の道を歩むことを決意したが、卒業後はあえて大学進学を選択する。「大学生活を人生の糧として経験したいと考えていました。芸能人ではない同世代の仲間も欲しかったんです」

大学生活で得た一生の友人

志望したのは芸術系の大学。「芸術は自分が長く興味を持てる分野。芸術が学べる大学なら有意義な4年間にできると思いました」

受験当時を「のんびりしすぎてしまい、高3の秋に志望校をようやく決めました。そのころには一般入試しか選択肢がなくて(苦笑)」と振り返る。

大学では、一生の付き合いができると思える友人たちと巡り会えた。また、芸術に触れ続けることで感性が刺激され「俳優業にも、とてもプラスになりました」という。

何かに挑戦してほしい

大学を卒業し、肩書は俳優一本となった。現在は、主演舞台「ダンガンロンパ THE STAGE〜希望の学園と絶望の高校生〜2016」の稽古に励む。

「今回の舞台では芝居経験の少ない若い役者もいます。稽古場での自分の振る舞い方が、後輩のお手本になればと思います」

同舞台は2014年の再公演で、本郷さんも同じ役を再び演じる。「公演ごとに演技のムラを作ってはダメ。何十回演じても100点の出来を目指す」と意気込む。

「自分の演技プランは前回の公演でできています。あとは演出家と細部を微調整すれば、より良い作品になると思います」

高校生たちにも「何かに挑戦してほしい」と呼び掛ける。

「若い時にしかできないことに後悔なく取り組んでください。そして遊ぶ時は遊ぶ、目いっぱい楽しんだら勉強する。きちんとメリハリもつけよう」

ほんごう・かなた 1990年11月15日、宮城県生まれ。2002年、俳優デビュー。05年、映画「HINOKIO」で、初主演を飾る。主な出演作は、ドラマ「アカギ」、映画「GANTZ前篇/後篇」「進撃の巨人 前篇/後篇」など。2017年公開の映画「鋼の錬金術師」にも出演が決定している。

 ダンガンロンパ THE STAGE 〜希望の学園と絶望の高校生〜2016 

超高校級のエリートが集まる私立「希望ヶ峰学園」。同校に入学した苗木誠(本郷奏多)を含む15人の新入生が、学園内に閉じ込められた。そして、学園長から生徒同士の殺し合いを命じられ……。6月16日〜7月16日。東京・愛知・大阪・神奈川の4都市で上演。チケット発売中。詳しくは、公式サイトhttp://www.cornflakes.jp/dangan/2016/を参照。