塩沢俊太さん(東京・久留米西高校3年)の写真作品「セルフポートレート」を紹介します。ぬいぐるみに囲まれた塩沢さん本人が怪しげな表情を浮かべるこの作品は、全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の写真部門に出品されました。どのように撮影したのか聞きました。
誰の心にもある「狂気」を表現
―作品のテーマを教えてください。
家に大量にあったぬいぐるみを使って作品制作したいと考えました。何日もぬいぐるみに囲まれながら撮影プランを考えるうち何か「狂気」を感じるようになり、人の「狂気」を写してみたいと思いました。誰の心の中にも「狂気」が潜んでいると思います。僕の心の中にある「狂気」を形にしてみるということがテーマです。
―こだわったり工夫したりしたポイントはどこですか?
この写真のモデルは僕自身です。はじめは表現したい雰囲気にぴったり合うモデルをクラスメートや部員の中から探していましたが見つからず……。ふと、「自分が一番ふさわしいのでは?」と思いつき、セルフタイマーを使ったセルフポートレートに挑戦しました。
照明機材を使ったライティング撮影にも始めて挑戦。照明の強さや角度を何度も微調整しながら、納得のいく光の当たり方や影のでき方を追求しました。
さらに表情にもこだわりました。顧問の先生や部員たちに見てもらいながら、一生懸命演技をしました。
―難しかった点、苦労した点は?
何日もかけて撮影プランを練ってから臨んだ撮影当日でしたが、照明機材の調整でなかなか納得がいかず……。何度も撮り直していたらテイク100を超えて、2時間以上の撮影になってしまいました。手伝ってくれた顧問の先生や部員たちを待たせていることが、少し心苦しかったです。
イメージが形になることが楽しい
―制作途中、印象に残っているエピソードはありますか?
時間のかかる撮影にはなりましたが、手伝ってくれた顧問の先生や部員たちとコミュニケーションを重ねながらの撮影は、すごく楽しかったです。僕の撮る写真は、スナップ写真のようにその場にあったものを撮るというより、設定など時間をかけて作りこんでいくものが多いです。頭の中でイメージしたものがどんどん形になっていくことが楽しいです。
―よい作品を作るためのコツ、上達のためにおすすめの練習方法を教えてください。
やるからには手を抜かず、妥協せず、時間をかけても納得いくまで徹底的にやり続けることが大切だと思います。これは顧問の先生からの教えでもあります。