西田和心(なごみ)さん(埼玉・埼玉栄高校3年)の写真作品「めぐる」を紹介します。水滴や森など、自然の表情をとらえたこの作品は、第48回全国高校総合文化祭(清流の国ぎふ総文2024)の写真部門で、文化庁長官賞を受賞しました。どのように撮影したのか聞きました。(文・写真 椎木里咲)

めぐる(第48回全国高校総合文化祭(清流の国ぎふ総文2024)写真部門・文化庁長官賞)

水が巡る様子を表現

―とても神秘的な写真ですね。どんなテーマで撮影しましたか?

私たちの生活には必ず水が必要なので、水に焦点を当てて撮影しました。水は空から雨として降ってきて、草木を巡って、蒸発してまた空に戻る、という流れを繰り返しています。そんな水が巡る様子を4枚の写真で表現しました。

文化庁長官賞を受賞した西田和心さん

―こだわった部分を教えてください。

複数の写真を組み合わせて作る「組写真」は、1枚写真が違うだけで全然違う印象の作品になってしまうので、それぞれの写真が作品のテーマに合うように選びました。他にも「一瞬を撮る」ことにこだわっています。右上の水滴の写真は連写ではなく、集中してタイミングを狙ってシャッターを切りました。

最後の写真探しに奮闘

―難しかったところは?

右下の草木に関する写真が、なかなか納得する写真が撮影できずに苦労しました。人工物を入れずに草木だけを撮りたかったのですが、なかなか最適な場所が見つからず……。最終的に使ったのは、家族でキャンプに行ったときにたまたま撮っていた写真で、図らずもぴったり合いました。

―撮影中、印象に残っているエピソードはありますか?

右上の空の写真は、去年の夏休みに初めて親なしで、兄と2人だけで九州の祖父母の家に遊びに行ったときに飛行機の上から撮りました。コロナ禍が落ちついたあとの久々の旅行で、親が一緒にいない遠出にもわくわくしていた思い出がよみがえります。

―上達するためのコツを教えてください。

私は「思いを乗せて撮ること」を意識しています。ただシャッターを押すのではなく、1枚1枚を意識して撮る。写っている人の感情、撮っている自分の気持ち、その場の雰囲気を写真に入れたいし、見た人にもわくわくした気持ちや感動を伝えたいんです。