奈良・青翔高校の生田依子先生が南極教員派遣を終えて3月に帰国した。約4カ月の研究データをもとに生徒たちと微生物について共同研究を深めている。(白井邦彦)
大学院時代にも応募、念願叶う
小学生の頃、ノルウェーの探検家ロアール・アムンセンに影響を受けた。「目的に向かい絶え間なく努力を続ける」姿に憧れ、自らも北極や南極を目指すようになった。
大学は南極を知る研究者が多かった北海道大学へ進学。大学院時代は底生生物(ウニ)の研究で南極派遣に応募したが実らず。教員になってからは南極行きを諦めた時期もあったが、南極への教員派遣があることを知って情熱が再燃。微生物をテーマにした研究内容が評価され、念願の南極行きが決まった。
「やっと行けた南極。でもあまり感動はなかった。データ収集や分析などやることが多すぎて、感動する暇がなかったですね(笑)」
リーダーになれる生徒を育てたい
南極には約4カ月滞在し、微生物の発電と量について調べた。昭和基地の汚水処理棟にたまった汚泥と周辺の沿岸土壌に生息する微生物を採取し、発電するかどうか実験を繰り返した。また、基地内の微生物の量も調べた。
日本にいる同校の生徒と、南極でデータを集めた生田先生で共同研究を進めている。「南極の野外土壌にいる微生物の発電についての研究は世界初」という。生徒が研究内容をまとめ、近々学会に発表する予定。「微生物の量については、基地内でも人の出入りが多い場所は微生物が多いことがわかった。微生物の量と人とは何かしらの関係があるのではないかと思われます」
今回の南極教員派遣で生徒たちへ伝えたいことができた。「観測隊は一人一人がリーダーになれる人たちの集団でした。指示待ちではなく、状況に合わせて自ら行動していく。自分に自信があるから周りが見えるのだと感じました。教員としては、そういうリーダーの素質を備えた研究者や技術者を育てたいと強く思いました」