「第13回リケジョ-未来シンポジウム」が 11 月、お茶の水女子大学(東京)で開催された。「リケジョ」の太田恵理子さんが登壇し、なぜ理系を選んだのか、大学での研究内容、現在の仕事のやりがいなどを中高生に向けて語った。(文・写真 中田宗孝)
高校までは、理系を学ぶことに強い思い入れはなく、理系だった母親の勧めがあったので、大学は理学部化学科に入学しました。大学生になっても理系分野に対する情熱は高校時代とあまり変わらず、でした。
ですが、大学4年生の時に研究室に入ってから気持ちが大きく変わりました。研究室では、有機化合物を使って新しい化合物を作っていく「有機合成化学」を学びました。
「この世界で誰も作ったことのない新しいものが私にも作れるかもしれない!」と、とても感動したのを覚えています。それからは、実験漬けの毎日を過ごし、勉強にも身が入るようになり、大学院まで有機合成の研究に励みました。
1人で伸び伸び過ごせる
有機合成の研究が楽しく、社会人になってもこの研究を生かせる仕事がしたい思いから、総合化学メーカーに就職。現在は、スマートフォンやタブレットなどに使われている物質「有機EL(有機化合物に電圧を加えると、熱をほとんど出さずに発光する現象)」を扱う研究グループで働いています。
大学での研究と最も異なる点は、お給料を得ながら研究ができることです。もちろん、私たちの研究成果は、上司や社外の取引先から厳しい評価を受けることもあります。一方、成果を求められる研究職ですが、研究過程のスケジュールを自分である程度自由に決められます。そこが私の性格に合っていて、やりがいを感じながら仕事に没頭できています。
大学生、社会人になってもリケジョの人数は少ないです。だからこそ、リケジョ同士の絆はとても深まります。また、周りに女性が多くないので、1人で伸び伸び過ごせる一面もあり、集団行動がちょっぴり苦手だなと思う人にも向いていますよ。
-
太田恵理子さん
おおた・えりこ 豊島岡女子学園高校(東京)卒。お茶の水女子大学理学部化学科卒。お茶の水女子大学大学院理学専攻博士前期課程修了。東ソー株式会社に入社後、現在は有機材料研究所有機EL材料グループに在籍。