「第13回リケジョ-未来シンポジウム」が 11 月、お茶の水女子大学(東京)で開催された。「リケジョ」の林愛美さんが登壇し、なぜ理系を選んだのか、大学での研究内容、現在の仕事のやりがいなどを中高生に向けて語った。(文・写真 中田宗孝)

磁石、豆電球、テコの原理といった理科の授業が好きな小学生でした。中高一貫校に入学後は、物理が好きになり、理系の大学に進学したいなと思いました。受験勉強では、苦手な英語に30分取り組んだら、好きな数学を1時間勉強するなど、苦手科目と得意科目の時間配分を意識していました。また、電車での通学下校時には必ず英単語帳を開くという自分ルールを課して勉強に打ち込みました。

理学部物理学科の学生となり、量子力学の特徴を生かして通信データの盗聴を不可能にする「量子暗号」の研究に大学院まで没頭しました。就職活動では、理系職に限定せず、アパレル業界や放送業界など、少しでも興味を持った業種の会社説明会に幅広く参加。就活の中で、理系の学生の働き先には、研究職以外にも技術職があることを知りました。私は、自分の作ったものがすぐに誰かに喜ばれるような仕事がしたいと考え、研究職ではなく技術職の仕事を目指しました。

男性ばかりでも大丈夫

そして、鉄道会社の技術系社員となります。女性が少なく、男性ばかりの職場で、入社当初は不安に感じたのですが、男性社員の皆さんが優しく接してくれて、今も楽しく働いています。当初の業務は、駅の改良工事。私が設計した図面を基に、外部の施工業者に仕事を依頼し、一緒に工事を進めていきます。ある駅の工事を終えた時、駅の利用者から「ありがとう」と声を掛けていただき、感激したのを思い出します。

リケジョ時代に学んだ物理は、直接的に仕事に関係ありません。ですが、実験結果を得るためにいくつものアプローチを検討する思考法などは、今の仕事にも応用できます。理系の知識を異業種でも生かせるかどうかは、自分次第だと思います。

 
 

林愛美さん

はやし・よしみ 鷗友学園女子高校(東京)卒。お茶の水女子大学理学部物理学科卒。お茶の水女子大学大学院理学専攻物理科学コース修了。東日本旅客鉄道株式会社に入社後、現在は東京支社東京信号技術センターに在籍。