悩み 地理の暗記方法は?

地理のテストが思った以上に難しかったです。歴史の「1192年は、いい国つくろう鎌倉幕府」のように、すっと暗記できますか?  (高校1年男子)

回答 「何を覚えるか」まず整理を(プロ家庭教師 吉永賢一)

 何かを覚えるときには「何を覚えるかを明確にする」のが鉄則だ。地理の場合、これが比較的やりにくい。その主な理由は2つ。「知識が絡まっている」ことと、「どこまで覚えたら良いのか分からない」ことだ。

例えば、ある都市について覚えるとする。

その場所を覚えるだけでも、「海岸線との位置関係」「川との位置関係」「緯度、経度」「他の都市の場所との関係」などの項目が考えられるよね。さらに、気候を覚えたり、産業を覚えたり、歴史を覚えたり……。

しかも、これらの項目について、なぜそうなっているか「理由説明」を覚える場合もある。このように、さまざまな知識が与えられるために、混乱しやすいんだ。

こうした知識はやみくもに暗記しようとせずに、まず今書いたような観点をヒントに、関連した項目ごとに整理していく。すると「絡まった」知識が解きほぐされてくると思う。 そして、意外と学習の盲点になっているのが、他教科などとの関連だ。例えば、気候について学ぶときには、地学の知識を持っていると、理解しやすくなる。こうした説明は、地理の授業中に与えられないことも多い。だから、「他教科の知識や、常識的な考え方で、説明できることはないかな?」と自分で考えて、背景知識を補強したり、関連している本を読んだりして、大切なことを抜き出してノートに書いておく。

常識的な考え方の例を出しておくと、「輸送費が安い方が好まれる」などがある。新しい知見の例を出せば、空間経済学の知識を入れることで、新たな理由説明が可能になって、覚えやすくなることがある。 こうやって、覚えることを整理したら、次に、その中から「今覚えること」を選び出す。整理したことで、選びやすくなっているはずだし、整理しているうちに、自然と覚えてしまったこともあるだろう。

つまり、整理の作業に、暗記の効率を高める鍵があるんだ。あとは、繰り返して覚える。繰り返しだけで覚えにくい部分は、覚え方を作って覚える。ここでようやく、語呂合わせなどが登場する。

よしなが・けんいち 1971年生まれ。東京大学医学部家庭教師研究会代表。群馬県立前橋高等学校卒業、東京大学理科Ⅲ類(医学部)に入学。著書に『東大家庭教師が教える 頭が良くなる勉強法』『東大家庭教師の子供の頭が良くなる教え方』ほか。