生理にまつわる悩みは、周囲の人にはなかなか相談しにくいもの。でも、不安があるときは一人で抱え込まないことが大切です。思春期外来を担当する産婦人科医の「サッコ先生」こと高橋幸子先生に、読者からの質問に答えてもらいました。(安永美穂)
婦人科はいつ行ってもよい
―高校生からの質問です。「生理痛がひどくて病院に行きたいのですが、生理前に行けばいいのか、生理後に行けばいいのか、生理中に行けばいいのか……。受診するタイミングがわからなくて、未だに行けていません。」
医師としては、生理前・生理中・生理後のどのタイミングで受診してもらうのでも大丈夫です。ただ、腹痛があるときに診察させてもらえると、痛いのが子宮や卵巣なのか、腸なのかを判別しやすくなります。
生理痛は我慢しなくてよい痛みで、「これから痛くなりそう」という早めのタイミングで痛み止めを飲めば、症状を和らげることができます。痛みがひどくなりそうなときは我慢せずに婦人科か産婦人科で受診してくださいね。
高校生も遠慮せず婦人科へ
―続いての質問です。「生理が重く、病気の可能性がないわけでもないので不安です。婦人科に行って診察を受けたほうがいいのかもしれませんが、どんな症状があったら病院に行くべきですか? 高校生でも行っていいのでしょうか。何をされるのか分からなくて、怖くて行く勇気が出ません。診察では痛いことをされますか?」
婦人科に行く目安としては、下の「3のルール」を覚えておいてください。
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こんなときは婦人科へ! サッコ先生の「3のルール」
・3カ月以上の無月経
・生理の出血が3週間以上続く
・1ヶ月に3回以上、出血がある
・生理時の痛み止めの使用が月に3回まででは足らない
・夜用の大きなナプキンを使用しても3時間もたない
・中3の卒業式を終えても生理が来ない
・緊急避妊を希望する場合は3日以内の受診が必要
上記のほか、生理痛がつらい、生理の時期をずらしたいという場合も、婦人科で相談してもらえれば適切な対処ができます。高校生の皆さんが婦人科を受診してももちろん大丈夫ですし、かかりつけの婦人科を早く持つとラクになりますよ。月経移動やHPVワクチン接種で高校生のうちにかかりつけの婦人科をつくっておきましょう。
婦人科では、現在の症状や初潮・最終月経の時期といった「問診」に続いて、おりものの状態や腟(ちつ)の炎症の有無などを調べる「内診」や、子宮や卵巣を映像に映す「超音波(エコー)検査」を行います。超音波検査では、性行為の経験がない場合はおなかの上からプローブという道具を当てるか、肛門から細長いプローブを挿入して診察します。性行為の経験がある場合には、腟から診察します。
内診や超音波検査では緊張すると痛みを感じやすくなるので、お尻に力を入れないで、「フー」と深く呼吸してリラックスしてくださいね。
病院選びのポイントは「低用量ピル」処方の有無
15歳以上なら一人だけで受診できますが、薬の処方には保護者の同意が必要です。病院によってルールが違うので、電話で確認しましょう。多くの婦人科では、保護者同伴の場合も問診時には本人だけ診察室に入ってもらうなどして、性行為の経験の有無といったプライバシーに関わることは保護者の方に聞かれないようにする配慮をしています。
病院を選ぶ際は、治療の選択肢を増やすためにも低用量ピルを処方している婦人科を選ぶことをおすすめします。一般社団法人日本家族計画協会のウェブサイトの「緊急避妊薬・低用量ピル 処方施設検索システム」を活用すると、自宅の近くで低用量ピルを処方している医療施設を検索できますよ。
たかはし・さちこ 1975年生まれ。埼玉県出身。産婦人科医。埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター所属。同大学病院産婦人科で思春期外来を担当。年間120回以上、全国の小・中・高校などで性教育の講演を実施している。