「恋愛をして当たり前」という価値観、皆さんの周りにもありますか? 今回は、そのような価値観に疑問を抱いていて、「あえて恋愛をしない」という高校生記者に、恋愛観について語り合ってもらいました。(司会・構成 本間愛深)

彼氏・彼女持ち=ステータス?

前回は、なぜあえて恋愛をしたくないのか教えてもらいました。皆さんの周りでは、彼氏・彼女がいることがステータス、優れていることの象徴というような雰囲気はありますか?

Aさん(2年) あります。うそをついて「付き合っている」と言っている人がいて、「彼氏・彼女がいるっていう肩書がほしいのか?」と思ってしまいました。

Bさん(2年) あります。私は感じませんが、彼氏・彼女がいることが当人の格を上げていると思っているようです。

恋人がいると格があがると感じる?(写真はイメージ)

Cさん(1年) 自分より先に彼氏・彼女ができた人を見て、「負けた」と感じる人が多いように感じます。リア充というステータスがとにかくほしいという人が周りに多いです。

Dさん(1年) 恋愛に興味がないことに共感してくれる人がいないので、周りがみんな恋愛しているように思えてきて、「恋愛に興味がない私は少し変わっているのかな」と自分に負い目を感じてしまいます。

DMで盛り上がり彼氏を作る人も

B 私の友人はSNSを使って付き合ったことがあるそうです。この手法は、何らかの接点がある人にしか使わないようですが、会ったことがあってもなくても、共通の知り合いをたどってアカウントを見つけ、親密になるそうです。

―どう親密になるんでしょうね……?

B まずは相手の見た目で選んでいる場合が多く、DM(ダイレクトメール)で共通の話題などで盛り上がったあと、会う予定を立てます。SNSの投稿もおしゃれにすることで異性受けを狙うそうです。

―恋愛目的でのSNS利用なんですね。

B 正直、そういうことをする人は相当恋愛に飢えていて、彼氏・彼女を作ることがゴールになってしまっているので、ある程度好みの顔で、接しやすければ付き合っちゃうことが多いみたいですね。

「推し」がいれば恋愛はいらない

―Aさんは推しがいるとのことですが、「推す気持ちの好き」と「恋愛的な好き」の違いはどういうところですか?

A 推しは、「かなわない好き」です。振る舞いや性格、顔も。付き合えるわけではないので、遠い存在、片思いみたいな感じです。

B 雲の上の存在だから、現実的な「好き」につながらない気持ち、わかります。私は恋愛がわからないから推しにシフトしているのかもしれません。でも、推しがいるだけで日常がちょっとハッピーになる感じ、いいですよね。

A その通りです! だから、いろいろと考えないといけない恋愛は「必要ない」と思ってしまいます。

「彼氏作らないの?」親から聞かれ

―皆さんは、家族から「恋愛したら?」などと言われることがありますか?

A 私はないです。

B 私は今のところは言われないですが、将来結婚も視野に入れる年齢になったときには言われるかもしれません。ですが、私は「友情に近い恋愛が良い」というスタンスを保っていきたいです。

C 私は言われることがあります。友達の恋愛事情を話すと、「あんたは彼氏作らないの? 他人ごとじゃだめよ」などとよく言われます。

D 私も、母から「好きな人できた?」とよく聞かれます。

親から恋愛話をされることも(写真はイメージ)

―CさんやDさんはそう言われた時、どのように返していますか?

C 「恋愛にそんなに興味ない。面倒くさそうだからいい。結婚だってしたくないし」と素直に返しています。

D 「今は十分充実しているから、恋愛はもう少し後でいいかな」と素直に自分が思っていることを伝えています。

―そう言った時の反応は?

C 親は「それは本当の恋をしたことがないからよ」と言っています。恋は感情が中心のものなので、「恋愛は理屈じゃない」という言い分に納得している部分もあります。

D 母は「高校生は一度きりだから恋愛をしないともったいないよ」とよくつぶやいています。母は女子校出身で「恋愛を楽しむことができなかった」とよく口にしているので、少し説得力があるように感じます。

C 親やそれより上の世代の恋愛に対する考え方が固いと、若い世代は自由な恋愛をしにくいです。

B 最近は多様性の考えが広まりつつあるので、恋愛をしない人の居場所も増えたように思いますが、まだ親世代の考えに影響されることもあります。

いろんな形の恋愛があってよい

―恋愛しないと幸せではないみたいな価値観が親の世代では強固なのかもしれませんね。だから子供たちにも恋愛してほしいと願うのかも。

C 私たちの世代が多様な恋愛の形のスターターになりたいです。

B とても良い考えだと思います。もしかしたら私たちと同じ考え方の人もたくさんいるかもしれませんね。

A 何かしらの形でいろいろな人に考えが伝わってほしいですね。

C 恋愛の多様性をすべての人にわかってもらいたいと強く思います。

A 「恋愛の多様性」という言葉、すてきです!

―「恋愛の多様性」が広がっていくといいですね。

B 恋愛がわからない、あえてしないからこそ、相手の立場になって物事を考えられたり、人と柔軟な関わり方ができたりすると思います。

A どの考えも一理あるので、自分に合った恋愛や考えを大切にしたいです。

B 親世代からいろいろ言われるかもしれませんが、私たちのアイデンティティーを大切にして、自信もって生きていきましょう!

C 恋愛に興味がないことを負い目のように感じるのではなく、アイデンティティーと捉えるのはポジティブですごくいいですね!

―恋愛に興味がないことに引け目を感じたり、たとえ冷やかしの目で見られたりしても、自分たちの気持ちを大事にしたい。自分の周りの人が持っている、恋愛に対する考えも尊重することが大切ですね。