「青春」と聞いて、何を思い浮かべますか? 恋愛を挙げる人も多いかもしれません。けれど、私にとって、恋は当たり前に経験できるものではありません。恋がわからない自分が感じた違和感と、自分の中で大切にしている考えを紹介します。(高校生記者・バンビ=2年)

「恋」がわからない私

あなたは今、恋をしていますか? 私は「恋」がどんな気持ちなのか、よくわかりません。まわりと同じ感覚を持てないことに対して、劣等感を覚える場面があります。自分だけ違う方向に取り残されているように感じる日もあります。

本を通して「知る」時間を持つ私(読書中:キム・ウンジュ『+1cm』文響社)

友達の反応にショック受け

高校に入ってすぐ、友達と「恋バナ」をしたときの出来事が心に残っています。みんなの話を楽しく聞いていた中で、「恋がよくわからない」と話すと、「そんな人いなくない?」と返されました。何気ない反応だったかもしれません。でも私には、「人として何か足りていない」と言われたように聞こえました。

「自分は未完成?」自信持てず

LGBTQ+に関する本を読んだのですが、恋愛感情を持たない人は「少数派」として扱われていました。そのたびに、自分が未完成な存在のように思えてしまいました。まわりの感覚が正解のように感じ、自分のあり方に自信が持てなくなりました。

加えて、自分も誰かに対して無意識に傷を与えていないか、考えるようにもなりました。

小説の一節に励まされ

そんな私を前向きにしてくれたのが、三浦しをんさんの小説『愛なき世界』です。特に、「知りたいと思う気持ちは愛に近い」と読める一節が印象に残りました。

この言葉にふれたとき、自分と異なる価値観や感情に対して、理解しようとする姿勢を持ち続けたいと思いました。理解しようとする気持ちは、相手へのまなざしにつながります。

三浦しをん『愛なき世界』(中公文庫)

知らずに誰かを苦しめてないか

ふだん何気なく使っている言葉や判断が、誰かの心に深い傷を残す場合があります。自分も同じように傷つけられた経験があるからこそ、知らずに誰かを苦しめていた可能性にも気づきました。

見た目や考え方、生き方や感じ方に違いはあって当然です。ひとつの基準に合わせようとせず、自分も他人も尊重できるように意識しています。

知らないものと出会ったとき、「おかしい」と距離を取るのではなく、「知ってみたい」と思える心を持ちたいです。「知りたい」と願う気持ちは、理解につながります。そして、理解を深める姿勢が思いやりを育てると信じています。

バンビ 青森県在住。末っ子。AB型。趣味はゲームと読書。尊敬する人は上野千鶴子さんと三浦しをんさん。好きなバンドはsumikaとcinema staff。