3万6千キロ上空と結ぶ
エレベーターで宇宙と地上をつなぎ、人や物が行き来する―。まるで新年の初夢のような話だが、宇宙エレベーターは現在の技術レベルで手の届く範囲という。実現に向けたプロジェクトが日本や米国で始まった。
地上と約3万6千キロ上空の静止軌道上の宇宙ステーションをケーブルで結び、エレベーターで上下させるという発想で、そのアイデアはSF小説などにも多く登場している。だが、それだけの長さのケーブル自体の重さに耐えられる素材がなく、実現は不可能とされてきた。
ところが、カーボンナノチューブの発明で、空想の技術が実現する可能性が出てきた。これは炭素でできた素材で、非常に軽く、理論上は同じ重さの鉄の100〜150倍の強度にできるとされる。
50年までに実現か
宇宙エレベーターが実現すれば、ロケットやスペースシャトルの100分の1程度の費用で宇宙に行くことが可能になるという。最近は宇宙エレベーター建設を議論する国際会議が開かれ、日本の大手ゼネコン、大林組は2050年までに約10兆円を投じて建設する構想を表明している。
ただ、カーボンナノチューブで十分な強度のある長いケーブルをつくる技術は確立されておらず、エネルギーの送電方法も課題となる。また、航空機やロケット、小惑星との衝突などを想定した安全確保も不可欠で、実現への道のりはまだ遠そうだ。