中学・高校時代は過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】授業に集中することができない
授業に上手く集中できなくて困ってます。「聞かないと」と思っても落書きをしたり、別の問題が気になってそっちを解いちゃったりして大事なところを聞き逃したり、プリントを埋めれなかったりします。
集中できないのは小学校低学年の頃からです。当時教科書に落書きをしていたのですが、その頃は「集中できない」よりも「ちゃんと授業を受けないと」という思いから、落書きを隠したり消したりしながら授業を受けていました。
授業中元気な時は、数学ならば問題の式をノートに写すなどなんとなく内容を聞く感じです。疲れているときは何も聞けず、絵を描くことに集中していたら、いつのまにかチャイムが鳴っています。内容が面白い現国や好きな先生の教科は、比較的授業を「受けて」いますが、そうでない教科はほとんど絵に集中しています。私が授業に集中できるようになるために実践できる、授業の受け方のコツや工夫を教えてください。(中学3年・零也)
集中力がなくて困っているという相談はたくさんもらいます。集中力がないという人は、大抵、集中力そのものがないのではなく、「つまらないものに対して集中力がない」という意味で使っています。
零也さんも、つまらない授業に対して集中力がないのであって、絵を描く時は集中していますね。
そこで、つまらない授業に集中できる2つの方法について書いておきますので参考にしてみてください。
【1】板書以外に「先生の話で重要と思うこと」をメモ
この方法は一般的な方法です。授業がつまらない第一の理由は「先生の教え方に問題がある」です。生徒を惹きつける授業でないために、生徒は退屈するというわけです。それでも真面目にやらねばならないと思っている生徒は授業を受けていますが、正直つまらない授業を受け続けるのは苦痛です。
でも、つまらない授業でも、よく聞いていると勉強になります。実は授業中に先生は大切なことを言っているのですが、それも生徒は聞き落とします。
そこで、「メモすること」を自分に課していきます。先生が板書したことをノートに書き写すことをやっていると思いますが、その作業だけでは意味がありません。何しろ、他の生徒も全く同じことをやっているので、それであれば後でコピーしてもらえばいいわけです。
そこで、授業中先生の話を聞くことと、定期テストで点数が取れるようになることを両立させる方法として「メモする」があるのです。メモをするためには、話を聞かなければなりません。つまり集中するようになります。また手を動かしているので退屈しません。こうしてつまらない授業でも、身になるというわけです。
ちなみにこのメモをする習慣ができると、今後学びの量がどんどん増えるため、学力のみならず、人生が楽しくなっていきます。
【2】絵を描く
上記の【1】の方法をやるためには「メモをとるという決意」が必要です。もし「この決意ができない」または「決意してもすぐに元に戻ってしまう」ということであれば、零也さんは授業中徹底して絵を書いてください。「絵を書いているときは集中できる」という特性を活かしていくのです。
ただし、授業とは無関係の絵を書いているのであれば、それは無駄になるので、授業に関係する内容、先生が言っていることをイラストにして書くようにします。つまり、活字でノートを取るのではなく、絵でノートを取るのです。
勉強と才能を連結させてみよう
おそらく零也さんは、アート系の才能が与えられており、学校の主要教科のような勉強には興味が向かない特性があるように感じます。しかし、そのような勉強でも、自分が得意とするアートの才能を活かしていけば、勉強もできるようになります。つまり才能と勉強を「連結」させてしまうのです。これをやって成功した生徒とたくさん出会ってきました。
以上、2つの方法についてお伝えしました。今後、零也さんは自分の特性を活かしてアート方面にいくといいかもしれませんね。集中できる分野が自分の才能が発揮できる分野です。でも、勉強は勉強で大切なので、今は上記のような方法を参考にやってみてください。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。